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見どころたくさん! 飯坂温泉まち歩き
「レトロ懐かしい」飯坂温泉の街を歩いて、楽しんで、味わって!
福島市の奥座敷・飯坂温泉。古くから、福島市はもちろん周辺の市町村の人々の湯治場として知られてきました。情緒あふれるローカル線・飯坂電車に乗って、飯坂を訪れてみましょう。
飯坂電車に乗って行こう
福島駅から飯坂温泉までは、福島交通飯坂線で30分弱。新幹線や在来線からすぐに乗れて、乗り換えもなく飯坂温泉まで連れて行ってくれる電車。福島市民に「いい電」の愛称で親しまれる生活の足でもあり、福島市の住宅地や田園を飯坂温泉まで駆け抜けていきます。
今回は、入浴券と沿線店舗サービス券付きの「いい電1日フリー乗車券(大人800円)」を使って、福島交通飯坂線福島駅から出発です。時刻表やフリーきっぷの詳細などはこちらをご確認ください。フリーきっぷは福島交通飯坂線福島駅の窓口で購入できます。
医王寺で歴史に触れよう
飯坂温泉へ向かうこと約20分。医王寺前駅に到着です。ここで一旦下車して、奥州藤原氏ゆかりの医王寺へ向かいます。
医王寺は、源義経に仕えた佐藤継信・忠信公はじめ佐藤一族の菩提寺。その歴史は古く、開かれたのは平安時代にさかのぼります。江戸時代には俳聖・松尾芭蕉も訪れており、本堂の近くには歌碑が残っています。
また奥へ向かって歩いていくと左側にはハス池が。これは平泉の中尊寺から見つかった種を大切に植えたもので、800年の眠りから覚めたハスを見ることができます。
事前予約で境内の案内をしてもらうことも可能(024-542-3797)。うっそうとした見事な杉並木を歩きながら歴史に触れてみてはいかがでしょうか。
飯坂温泉街を歩こう
医王寺前駅から再び飯坂電車に乗り、約5分で飯坂温泉駅へ。風情たっぷり純和風の駅舎を出たら、大正4年に作られた十綱橋を渡って飯坂まち歩きのスタートです。
1.「うそかえ祭」の西根神社へ
十綱橋を渡って歩くこと10分。「うそかえ祭」で有名な西根神社に到着します。西根神社は、福島県北地方の田畑を潤す用水路・西根堰を作った佐藤新右衛門と古川善兵衛の二人を祀ったもの。1月と4月に行われる「うそかえ祭」は、1年間の悪いことや不幸を木彫りの鷽(うそ)に身代わりになってもらって嘘に変えてしまうというお祭りで、毎年数万人の人が訪れます。
2.足湯につかりながらランチタイム
お参りしたら飯坂温泉駅方面へ少し戻り、「足湯カフェ・まつぼっくり」でランチを楽しみましょう。2020年6月にオープンした「まつぼっくり」は、なんと足湯につかりながら食事や飲み物を楽しめるカフェ。
店内奥のドアをあけると、そこには湯気を上げる足湯が。お湯はもちろん飯坂の源泉でちょっと(いや、かなり?)熱いけど、ミルクかき氷の綿雪を食べたり、冷たい生ビールを飲んだりしながら足をつけるのにぴったり。
ランチは国産のやわらか~い豚肉をつかったしょうが焼きが自慢。そのほか、ビビンバやパスタなどの日替わりランチはなるべく飯坂の食材を使うように工夫しているとか。手作りのランチで英気を養いましょう。
3.温泉街を眺めよう
おなかがいっぱいになったところで、「まつぼっくり」から徒歩約20分の愛宕山公園へ。階段または坂道を上るので少し体力を使いますが、小高い丘の上の公園から一望できる飯坂温泉街の眺めが疲れを吹き飛ばしてくれます。お天気が良ければ、遠くに安達太良山や吾妻連峰も眺めることができますよ。
4.飯坂温泉の人気スポット旧堀切邸
次は、歩いて疲れた足を癒しながら、旧家を見学しましょう。愛宕山公園から歩いて10分弱のところにある旧堀切邸は、江戸時代から続く豪農・豪商の屋敷。きれいな庭園の中には、足湯・手湯も整備されていて、観光客にも地元の人にも人気のスポットです。案内所で無料のタオルを貸し出しているので、足が濡れても心配ありませんよ。
大切に保存されている旧堀切邸は、ただ見るだけではもったいない。毎週末(土・日・祝日含む)、「旧堀切邸案内人の会」がボランティアガイドとして案内してくれるので興味深いエピソードが聞けるかも。詳しくは旧堀切邸(024-542-8188)へお問い合わせを。
旧堀切邸(外部リンク)
5.温泉情緒を楽しもう
旧堀切邸からすぐの鯖湖湯。飯坂温泉といえばこの風景が思い浮かぶ人も多いのではないでしょうか?温泉らしい情趣ある木造の建物で、朝は6時から開館、大勢の地元の人でにぎわいます。鯖湖湯は飯坂温泉でも一番古い湯で、松尾芭蕉も入ったと伝わる歴史ある湯。このあたりを散策すると、飯坂温泉に来たなあという気分を満喫できます。
6.「飯坂けんか祭り」の聖地へ
お祭り好きの人に言わせれば、飯坂温泉といえば「飯坂けんか祭り」。日本三大けんか祭りにも数えられる勇壮なお祭りは、毎年10月に行われています。その会場となっているのが飯坂八幡神社。普段は静寂に包まれている境内ですが、お祭りの時は大勢の見物客でにぎわいます。
7.あっつ~い温泉に入ろう
1日歩いたところで、いざ温泉へ。ここで「いい電1日フリー乗車券」の入浴券を使いましょう。飯坂には先に紹介した鯖湖湯をはじめ、共同浴場が9つありますが、おすすめは飯坂温泉駅近くの波来湯(はこゆ)。貸しタオルセットがあったり、石けんやシャンプーを販売していたりするので、手ぶらでも安心です。
飯坂温泉は、源泉の温度が高く熱いので有名。波来湯では、源泉掛け流しの熱い湯と、入りやすい温めの温度に調整された湯の2つの湯船があるので、熱いのが苦手な人でも大丈夫。でも飯坂に来たからには源泉の熱いお湯にチャレンジしてみるのもいいですね。
疲れを癒したら、玄関前の坂道を降りて波来湯公園へ。摺上川の川風に吹かれて涼むのもおススメです。
公園に神社に温泉に、と盛りだくさんの飯坂まち歩きはいかがでしたか?
次は、朝ドラ「エール」の主人公のモデルにもなった古関裕而と飯坂の縁の場所を見てみましょう。
飯坂温泉と古関裕而
朝ドラ「エール」の主人公のモデルの古関裕而は、第二次世界大戦末期に飯坂温泉に家族と共に疎開していました。そのころに、飯坂温泉から茂庭まで摺上川沿いを歩きながら生まれたのが名曲「さくらんぼ大将」。
古関裕而が愛した摺上川は、愛宕山公園を降りてすぐの新十綱橋からの眺めが抜群。「さくらんぼ大将」が生まれた飯坂町茂庭にある「摺上川ダム」までは、飯坂町の中心部から車で約20分です。
古関裕而がご家族と共に滞在していた家は飯坂の横町にある二階堂家。今も二階堂さんがお住いのため内部を見学することはできませんが、間取りなどがわかる看板が設置されています。飯坂温泉で暮らしていた当時を思い浮かべてみましょう。
飯坂温泉でショッピングを楽しもう
飯坂温泉には名物・ラジウム玉子をはじめ、美味しいものがたくさん!今回歩いたスポットの近くにあるショップをご紹介します。街歩きしながら、立ち寄ってみましょう。
Patisserie Sawada(パティスリーサワダ)
飯坂温泉駅から徒歩3分。パティスリーサワダでは、朝ドラ「エール」にちなんだ「アンサンブル」というあんバターサンドが人気。「アンサンブル」は合唱・合奏の意味。生涯5000曲以上を作曲したと言われる古関裕而さんにぴったりのネーミングなのと同時に、「餡」「サンド」「ブル(=フランス語でバターの意味)」と使われている材料にもちなんでいます。
作り続けて25年のピュアオレンジケーキは「美味しい!」の一言。夏には冷やしてさっぱりとどうぞ。
岩城屋米穀店
飯坂温泉駅から徒歩2分。飯坂温泉の名物といえばラジウム玉子。半熟のとろっとした玉子は消化も良く、子どもでも年配の方でも食べやすい万能食。岩城屋米穀店では、音符と「Ra」の文字に心が弾むよう。赤玉の玉子は、もちろん飯坂温泉の源泉につけたもの。ねっとりと舌にとろけるような食感をお楽しみください。
Latta Lutta(らったるった)
足湯カフェ「まつぼっくり」の隣にある「らったるった」は、飯坂出身のオーナーが2020年3月にオープンさせたばかりのマフィン専門店。女性客を中心にスイーツ好きがひっきりなしに訪れます。
桃・りんご・さくらんぼ・プラム・いちごなど、季節の果物を使ったマフィンが特に人気です。旬のものを旬の時に味わって欲しいという気持ちから、果物はできるだけ飯坂のものを使っているそう。なくなり次第終了となりますので、お早めに。
わたなべパン
飯坂温泉駅からも旧堀切邸からも徒歩3分。飯坂温泉の商店街にあるわたなべパンは、昔ながらの手作りのパンが街の人に愛される老舗のパン店。現在「エール便セット」を限定販売中です。
「エール便セット」の中身は、主人公・古山裕一のモデルである古関裕而さんの出身地・福島市の飯坂温泉名物のラジウム玉子を使った「ラジウム玉子パン」と、奥さんの金子さんの出身地・愛知県豊橋市で作られているヤマサのちくわを使った「ちくわパン」。出身地の名産品を1つずつ使ったパンのセットは、まるで仲の良かった古関ご夫妻のよう。
この「ちくわパン」はもともと、わたなべパンの名物パンでしたが、今回の朝ドラ「エール」をきっかけに、豊橋市のちくわを使うことにしたとのこと。
「いい電1日フリー乗車券」を見せると割引が受けられますよ。詳しくはこちら。
丸滝
旧堀切邸から摺上川方面へ歩いてすぐ。明治創業の老舗、丸滝にはいろいろな発酵食品がいっぱい。一番のおススメは生あまざけ。85度で30分の熱処理をしているので酵素が生きていて、臭みがなくすっきり飲みやすいのが特徴。身体に染み渡るような甘酒は、店内で飲むこともできますよ。
また、味噌づくり教室で味噌づくりの体験をすることができます(1週間前までに2名以上で要予約。024-542-2425)。“生きた”味噌を自分で作る体験をぜひどうぞ。
もうひとつのおススメはラジウム玉子。社長自らが湯に入れている丸滝のラジウム玉子は、数ある飯坂のラジウム玉子の中でも一番のやわらかさが特徴です。いろいろなラジウム玉子を買い求めて、食べ比べしてみるのもおもしろいかも。
飯坂温泉街で夜を楽しもう
飯坂温泉街には夕方から開店するお店も多いので、夜も温泉×グルメを楽しめるスポットです。
お店の前に足湯がある円盤餃子で有名な「餃子照井」飯坂本店。野菜がたっぷりの餡を自家製の薄皮で包み、カリっと揚げてあるため、一人前をあっという間にぺろりと食べられてしまう驚きの軽さ。作り置きをせずいつも出来たてが食べられるのが人気の秘訣です。
飯坂本店 営業時間は17:00~23:00。定休日は水曜日。餃子一皿(22ヶ)半皿(11ヶ)。
飯坂温泉駅から福島駅へ、もう一度飯坂電車に乗って
飯坂温泉を歩いて、楽しんで、味わってみていかがでしたか?帰りは飯坂温泉駅から「いい電1日フリー乗車券」を使って福島へ。1日利用した乗車券ともこれでお別れです。
今回は日帰りの旅でしたが、飯坂温泉には魅力的な宿がたくさんあります。次はぜひ飯坂温泉に泊まりながら、温泉をとことん楽しむのもおすすめですよ。