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地域コミュニティの拠点を目指す「みんなのカフェあんさんぶる」福島市市民センターに誕生
誰もが温かく迎えられ、安心して過ごせる場所の実現

福島市役所の西側に新たにできた「福島市市民センター」1階に、3月から素敵なカフェがオープンしているのをご存じでしょうか。
その名も「みんなのカフェ あんさんぶる(以下、あんさんぶる)」。
「地域の人々が集い、交流できる新しい場所にしたい」との思いから、障がい者の就労支援を行うNPO法人「共生社会ふくしま」によって創設・運営されています。
実はこのカフェ、地域にとって非常に重要な役割を担っています。それが、誰もが温かく迎えられ、安心して過ごせる場所であることの実現。
一体どういうことでしょうか。
理事長の舟山信悟さんに、あんさんぶるとはどんなカフェなのか、なぜこの場所にあるのかなどを詳しく伺ってきました。心がほっこりする温かいエピソードに改めて「福島っていい町だな」と思える内容です。ぜひ最後まで読んでみてくださいね。

福島市役所の西側に新しくできた「複合棟」。駐車場完備
訪れる人々を優しく迎え入れる、温かな空間
正面入口から入るとすぐに大きな吹き抜けのある空間が広がります。あんさんぶるはその明るく開放的なエリアにあります。
あんさんぶるは、地域の人々が出会い、交流し、互いに支え合うコミュニティの拠点となることを目指しているということで、誰もが気軽に立ち寄れる開かれたつくり。やわらかな陽光が差し込む大きな窓、複数人でも利用できるテーブル席のほか、一人で気軽に過ごせるベンチ席も用意されています。
ここは単に食事や飲み物を提供するだけではなく、子どもから高齢者、障がいのある方々、忙しいビジネスマン、市役所を利用したついでに小腹を満たしたい方など、誰もが利用できる地域に根差したコミュニティスペースでもあります。
福島市役所に隣接したこの建物。取材したのは平日の午後でしたが、年齢層もさまざまな方が利用していましたよ!
「自分も誰かの役に立っている」地域の居場所づくり

「お客様も働く側もみんなが笑顔で帰れる場所にしたいです」と舟山さん
早速、理事長の舟山信悟さんにオープンの経緯を伺いました。
——どういった経緯でオープンしたのですか?
当団体で「市役所庁舎の建て直しにあたって、障がい者が働く場所を作ってほしい」と要望し、検討していただいているときに東日本大震災が起こりました。庁舎の建て直しの延期と共にその話は止まっていましたが、福島市民センターのオープンが決まった際、「あのときの要望はいきていますがどうしますか?」と改めてお話をいただきました。
——「障がい者が働く場所」というのは具体的にどういうことですか?
私自身、障害福祉の業界で働いており、障がいのある方々への就労支援は十分ではないと感じています。まずは就労をしてもらえるお金(工賃)を少しでも引き上げたい。次に、彼らが地域に溶け込みながら就労して「自分も誰かの役に立っている」と感じてほしい。
このカフェは、そんな思いに共感してくれるいくつかの事業所さんたちと手を組み、2年ほどかけて実現したお店です。
まずはこの取り組みを通して、障がいのある方への理解を深め、地域の皆さんの心の中にある見えない壁(バリア)をなくしたいです。
——スタッフの皆さんもとっても温かくて、フレンドリーですね!
あんさんぶるは、誰もが温かく迎えられ、安心して過ごせる場所です。美味しい食事や飲み物を楽しみながら人々との交流を深め、心豊かな時間を過ごしてほしいと思っています。カフェとしての機能だけでなく、地域コミュニティの活性化にも貢献することを目指しているんですよ。
今後はニーズを聞きながら、カフェの活動をさらに発展させていく予定です。
——実際に、障がいのある方の就労所として動き出すのはいつ頃ですか?
今年10月頃を予定しています。それまでにみんなでこの場所を見学したり、お客様として利用したり。今は少しずつこのカフェに慣れている段階です。「早く働きたい」「店頭に立ちたい」といった声が聞かれ、みんな楽しみにしているみたいです。

明るく笑顔の素敵なスタッフの方々
地元の恵みを味わう、こだわりのメニュー
お店をオープンするにあたって、クラウドファンディングで支援を募ったあんさんぶる。たくさんの人々が支援を行い、ジェラート製造機を購入することができたそうです! その機械を使って作られたのがこちらのジェラート(300円)。

「本日のジェラート」。この日はミルク、マンゴー、ゆうやけベリーの3種だった
福島の果物を中心にして使った手作り品です。この日使われていたジェラートには福島産のイチゴ「ゆうやけベリー」を使ったものがありました。店頭にはあまり並ばない希少な種類ということもあり、人気が殺到してあっという間に売り切れていました。
また、カフェで使用する食材はできる限り地元産のものを使用しています。
地元の農家や福祉施設と連携し、規格外となってしまい店頭に並べられない野菜や果物などを活用。サステナブルなメニュー開発にも力を入れているそうです。
ちなみに看板メニューでもある「ナポリタン」(800円)のトマトソースには、福祉事業所の利用者たちが丹精込めて作った野菜も入っています。自分の作った野菜がおいしいパスタソースになってたくさんの方に食べてもらえるなんて、うれしいことですね!


ドリンクも充実しており、「コーヒー」「カフェラテ」「レモネード」などのほか、フロートやスープもあります。
地元食材を活かした料理やおいしいコーヒーを提供して地域を元気づけながら、人々の心と心を繋ぐカフェ。一人二役ならぬ、三役も四役もこなす素敵なカフェですね!
そして、舟山さんは「カウンター下の手描きメニューは、福祉事業所のスタッフが描いたんですよ」と教えてくれました。
「この看板がスタッフの手描きとは……!!」と驚きのクオリティ。みんなにそれぞれの得意があり、それを集めて実現したのがあんさんぶるなのだと改めて感じました。


障がい者就労支援と、行動を起こすきっかけの場として
いかがでしたか?
今回取材したあんさんぶるには、障がいを持つ人への就労支援という側面と、一人ひとりが多様な人を思いやり、行動を起こすきっかけの場づくりという、二つの側面がありました。
福祉に関わるたくさんの方々の思いを感じ、改めて福島市民の優しさと実行力を実感しました。一言に「障がい者支援」というと難しく考えてしまいがちですが、カフェを利用することで、多様な人々を理解するきっかけになればいいですね。
そして、あんさんぶるの最大の魅力は何と言ってもスタッフの皆さんの温かい笑顔と心づかい。皆さんもぜひ元気をもらいに訪れてみてください。
店名 | みんなのカフェ あんさんぶる |
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住所 | 福島市五老内町3-1 市民センター1階 |
電話番号 | 024-511-8507 |
営業時間 | 10:00~17:00 |
定休日 | 土、日曜日、年末年始 |
駐車場 | あり(入庫後3時間無料。以降、30分ごとに100円)※市役所、市民センター利用の場合、申請すれば駐車料金免除 |
HP・SNS | 公式Instagram |