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守り続ける伝統の「暁まいり」、土曜開催となり総勢100人の担ぎ手が集いました

江戸時代から400有余年受け継がれてきた福島市の冬の伝統行事

福島市のシンボル・信夫山の山頂に鎮座する「羽黒神社」。例年2月10日・11日に開催されていた冬の伝統行事「暁まいり」が、2025年は2月の第3土曜日に変更。
平日開催による担ぎ手不足の解消や集客、また「暁まいり福男福女競走」への参加促進を期待し、2月15日(土) に開催されました。

江戸時代から受け継ぐ歴史と伝統

江戸時代から400有余年に渡り、地域の住民によって受け継がれてきた「暁まいり」。その昔、羽黒神社には仁王門があり、安置されていた仁王様の足の大きさに合わせて大きなわらじを作って奉納したことが由来と伝えられています。

しかし明治2(1869)年に神仏混淆が禁じられ、神社の境内に仏堂があるのがいけないとして仁王門が取り壊されてしまいます。明治14(1918)年には仁王様自体も火事で消失してしまったのですが、仁王様への大わらじを奉納する伝統行事として、今に残っています。

奉納する大わらじは、長さ12m、幅1.4m、重さは約2t。3,000束ほどの藁を主材料に、御山敬神会のメンバーが毎年、約10日ほどかけて制作しています。

五穀豊穣、家内安全、身体強健などを祈願。足腰が丈夫になるとも伝えられています。また、昔は雪道を男女助け合いながら登ったことから縁結びの神様としても人気。3年続けてお参りすると恋が成就するという言い伝えもあります。最近では交通安全や合格祈願などに訪れる人もいるのだそう。

参道を練り歩く迫力満点の大わらじ

2月15日(土) 午後1時、御山の作業所を出発し、信夫山の麓にある「駒山広場」に到着、出発式が執り行われました。

大わらじの担ぎ手は、事前の応募で集まったボランティアのみなさん。中には男性に混ざり女性の参加者も。今年は、昨年よりも40人ほど参加者も増え、総勢100人ほどが集いました。

午後2時、駒山広場を出発。山頂の羽黒神社までの約1.6kmの道のりを、担ぎ手を交代しながら大わらじを担ぎ「わっしょい! わっしょい!」という威勢のいい掛け声とともに練り歩きます。幸い天気にも恵まれ、沿道には市民カメラマンや応援者も駆けつけ、温かく担ぎ手を見守りました。

ここまでのなだらかな路面とは異なり、最後に待ち受ける山頂へと続く道が一番の難所。所々に岩が見え、傾斜も急な険しい道のり。
担ぎ手は気持ちを一つに歩みを進め、出発から約1時間で羽黒神社に到着。今年も無事に大わらじを奉納することができました。

参加者・来観者の声

先輩の誘いで参加を決めたという4人組。「3人は今回初参加。大わらじは重くて、思っていたよりも大変でした。転びそうになりながらもなんとか成し遂げられたので、今年はいい年になると思います」と話してくれました。

友人たちと参加した高校生からは「大変だったけれど、最後に奉納された大わらじを見て、参加して良かったと思いました」「みんなの掛け声が力になりました」「いろいろ協力してできて楽しかった。来年も参加したいです」との声も。

また、沿道で応援していた来観者からは「初めて見に来ましたが、坂道を大わらじが登っていく姿は迫力がありました。来年は自分も参加してみたい」と話してくれました。

昨年から指揮長を引き継いだ「日本一の大わらじを担ぐ会」の関口榮幸(しげゆき)会長からは「平日から土曜日開催に変わって、多くの人に参加いただけてよかったです。これからも伝統を守り続けていきたい」と、今後に向けての意気込みを聞くことができました。

最後に、参加者には大わらじにも使っている藁で作られた記念品が配布されました。暁まいりに参加してこのお守りをもらえば、今年一年、良い年になることでしょう。

この日は、約5年ぶりに夜の開催となる「福男福女競走」も執り行われ、約600人のランナー達が集いました。狙うは最初にゴールした者に与えられる「一番福」。大わらじやキャラクターに扮した参加者など、多くの人で賑わいました。

高橋由香

準レギュラーライター

高橋由香

福島市出身。関東の大学へ進学後、Uターンをして地元の出版社に就職。主に紙媒体の情報誌の編集部員として経験を積む。東日本大震災後の体調不良をきっかけに「食」のありがたさに気が付き、調理師学校の夜間部に通って調理師免許を取得。現在は学生時代から続けていたカメラの経験を活かし、主にカメラマン・ライターとして活動中。また、いちご農家のアシスタントとしても働いている。

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