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「ふくしま農業富女子座談会」を通して知る、福島の果物と農家の現状

「ももとりんごの擬人化図鑑」「ざんねんなくだものずかん」制作で、子どもと大人の食育を目指す

農業富女子座談会

2024年12月23日、四季の里 憩の館(旧そば屋)を会場に、「ふくしま農業富女子(ふじょし)会 座談会」の第2回目が開催されました。

この座談会は、県北地方で農業に従事する女性たちが結成した「ふくしま農業富女子会」のメンバーが集まり、福島の果物や農家の現状をお知らせするツール制作のための意見交換を行うものです。2時間では収まりきらないほど盛り上がった座談会の様子をレポートしていきます。

「ももとりんごの擬人化図鑑」制作へ向け始動!

ももまみれ図鑑&MAPの表紙

図鑑の中身をチラっとお見せします(表題の妄想が空想に変わります)

皆さんは、2024年の夏に登場した「ももまみれ図鑑&MAP」を覚えていますか? 福島を代表する桃8品種を擬人化し、それぞれの味や特徴、収穫時期、生産者視点での育てやすさ/育てにくさ、さらにはレア度などの情報が盛り込まれた図鑑です。

これは今回集まっていただいた「ふくしま農業富女子会」の皆さんの全面協力のもとに作成されました。発刊後、図鑑が欲しいという声が他県からも多く寄せられ、関西での物産イベント時や、飲食事業者からも「桃の品種を説明するのにちょうどいい」という意見をいただくなど、予想以上の反響をいただきました。

続編を期待する声も多数あったことから、2025年は「ふくしま農業富女子会」の皆さんが推す桃やりんご、合わせて10品種ほどを新たに追加した擬人化図鑑を発行する予定です。

ふくしまの推し果物の「ココが好き!」「ちょっと残念」を語り尽くす

農業富女子座談会

今回の座談会には福島市、伊達市、桑折町などで果樹や農産物を栽培している9名が参加しました。地元で家業を継いで農業を営む方のほかにも、県外から移住して農業を始めた方、地域おこし協力隊として就農された方など、数年内に新規就農された方も多い印象です。

そのほか、ふくしま農業富女子会アドバイザーである県北農林事務所の味戸さん、福島市子どもの夢を育む施設こむこむ(以下、こむこむ)館長の高橋さんと、事業担当の大石さんも同席。

自己紹介もかねて、座談会メンバー全員の桃・りんごの推し品種が発表されました。

【生産者さんの推し桃】

  • あかつき
  • まどか
  • さくら白桃
  • なつっこ
  • 滝の沢ゴールド
  • ゆめかおり
  • 幸茜(さちあかね)
  • CX
  • ふくあかり

【生産者さんの推しりんご】

  • サンふじ
  • 王林
  • アンビシャス
  • べにこはく
  • 名月(ぐんま名月)

聞きなれない品種がズラリと並んでいますね。これらの品種の味や特徴、収穫時期、育てやすさ/育てにくさ、レア度、芸能人に例えるなら? といったトピックを話し合い、イラストレーターのico.さんに擬人化のイメージを伝えていきました。
昨年度の座談会で顔見知りになっていたこともあり、終始和やかな雰囲気で座談会が進んでいきました。

果物擬人化のアイデアはico.さんのSNS発信から

農業富女子座談会

座談会メンバーにラフスケッチを紹介するico.さん

果物の品種を擬人化するアイデアは、福島市在住のイラストレーターico.(イコ)さんのSNS発信がきっかけでした。学生時代は果物をほとんど自分で買うことがなかったico.さんですが、福島市に移住してからは、果物をいただいて食べる機会が増えたそう。

ある日、福島市大町のギフトショップ「ent」を訪れ、たまたま販売していた傷ありの「ゆうぞら(桃)」を4個300円で購入。「桃は品種によってこんなにも味が違うのか!」と驚き、感動したといいます

福島の桃に魅力を感じたico.さんは、品種ごとの特徴や魅力を女の子のイラストで表現し、SNSに投稿。そのユニークな発想は注目を集め、「桃を品種ごとにわかりやすく紹介してほしい」という要望がお客様や事業者から福島市観光コンベンション協会(以下、協会)へ多く寄せられていたことから、ico.さんに生産者視点で品種の特徴を踏まえた擬人化イラストを依頼することに。

ふくしま農業富女子会の皆さんの協力も得て、2024年に「ももまみれ図鑑&MAP」の発刊が実現したという経緯があります。

 
 
 
 
 
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@icollection.me(Instagram)

ico.さんコメント:
生産者のみなさんの意見を聞いていると、果物に感じるかわいさや愛情の裏に、たくさんの苦労があることがわかります。その二面性というか、特有の“裏の顔”を表現するのに女の子がちょうどいいと思ってイラストを描いていましたが、今後は性別や年齢も幅広くとらえて形にしていければと思います。

「酸味の強い『べにこはく』は、個性的だけど愛されキャラの男性俳優のイメージ
「うすいまだら模様の『CX』は、そばかすのあるギャルっぽいかも?
「太陽をいっぱいあびて育つ『サンふじ』は、朝ドラ『おしん』のイメージかな?

座談会メンバー皆さんの思い思いの意見を聞きながら、ico.さんが短時間でラフスケッチを仕上げてくれました。これらを基に、擬人化のイラストイメージを固めていきます。

農業富女子座談会
農業富女子座談会
農業富女子座談会

ico.さんによる果物の品種擬人化のラフスケッチ

子どもと一緒に大人も食育を!「ざんねんなくだものずかん」の狙い

農業富女子座談会

座談会の後半では、一般消費者に福島の果物へ興味を持ってもらうための「ざんねんなくだものずかん」の制作に向け、生産者である座談会メンバーの意見を募りました。

この背景には、協会がホリデイ事業で直接生産者から話を伺ったり、ふるさと納税の事務局を担う中で寄付者の方からお問い合わせをいただくくことが増え、消費者側と生産者側で、果物に関する知識のズレが生じていると感じたことにあります。

例えば、今年はぶどうの脱粒(だつりゅう)に関するお問い合わせが非常に多くありました。脱粒とはぶどうの房から実が外れてしまう現象で、ちょっとした揺れや輸送の衝撃などでも発生することがあり、完全に防ぐことは難しいものです。
中でも近年人気の高い「種なし巨峰」は、種をなくしたが故に、房と実をつなぐ引っ掛かりがなくなり脱粒しやすくなったそうです。それにもかかわらず「古いものを送ったのでは?」「しっかり房についているぶどうと交換してほしい」といった意見をいただき、対応に苦慮しました。

また、座談会メンバーの皆さんからもさまざまな話が飛び交いました。桃の皮の産毛をカビだと勘違いされたり、さくらんぼの双子果(1つの軸に2つの実がある)が病気だと思われたりすることもあり、農作物に関する常識が伝わっていないことがクレームにつながっていると感じています。

このような状況を受け、協会は「まずは消費者、特に大人の意識を変えていこう」と考え、果物に対する消費者の勘違いや思い込み、理解不足から生まれる「くだもののざんねんポイント」を座談会メンバーに伺いました。対象となる果物は、桃、りんご、さくらんぼ、ぶどう、和梨、いちごです。

こうして挙げていただいた福島の農業が抱える課題を、「ざんねんなくだもの」として子どもたちがイラストで表現し、一冊の図鑑にまとめていく予定です。

子ども向け図鑑づくりのワークショップは、昨年6~7月に親子農作業体験を主催したこむこむにご協力いただきます。
館長の高橋さんは、親子農作業体験で参加者の様子を見て「親子で畑に来て農作業体験をすることで、皆さんいろいろな気づきを得るようです。農家の苦労を知り、果物に対する見方が変わったり、中には果樹園で果物を買う選択肢が増えるなど、行動まで変わった方もいます」と話しています。

子どもが発信する図鑑を通じて一緒に学ぶことで、最終的には大人の食育にもつなげていくことを目指しています

福島の美味しい桃の秘密を探ろう!

こむこむが主催した昨年6月の親子農業体験ワークショップの様子

福島の果物図鑑の続編に期待!

座談会終了後も、参加者の皆さんは名刺交換をしたり、おしゃべりを楽しんだりと、2時間では足りない様子でした。

果物のプロが選んだ品種がどんなイラストになるのか、子どもたちが福島の農家の現状をどんなイラストで表現し、図鑑にまとめるのか。「桃とりんごの擬人化図鑑」と「ざんねんなくだものずかん」、2冊の図鑑が完成する日が楽しみですね。

【ふくしま農業富女子会参加メンバー】

会長 相原晴美さん(桑折町)
副会長 大内美千代さん(大内果樹園/福島市)
山岸果樹園 山岸明世さん(福島市)
まるり果樹園 菱沼寿美恵さん(福島市)
大友農園 大友悠花さん(福島市)
枝並農園 枝並貴美子さん(伊達市)
たつみ果樹園 永傳美夏さん(桑折町)
果樹園ブエナビスタ 菊地由美さん(福島市)
八島和子さん(福島市在住 畑:桑折町)

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