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「農業ってかっこいい」お洒落な若者たちが福島市内でにんにく栽培に挑む
SNSで話題のお洒落なにんにく農家「達磨農園」を取材しました
「福島市内にお洒落なにんにく農家さんがあるんですが、取材しませんか?」
さっそく公式サイトやInstagramを見てみると、農家さんではあまり見ないようなお洒落なロゴマークと、お揃いのユニフォームを着て農作業をしている、かっこいい若者たちの姿が。
福島市内にある「達磨農園(だるまのうえん)」では、東京と福島の2拠点で活動する若者たちが最高級にんにくの栽培に取り組み、そしてInstagramやYouTubeを通じて、農家としてのライフスタイルを発信しています。Instagramのフォロワー数は約7,600人。その姿は地元の若い農家さんたちのあいだでも話題になっています。
どんな想いで福島市内で農業に取り組んでいるのか、達磨農園を運営する株式会社TOKYO HEARTの本田彬(ほんだあきら)さんにお話を伺ってきました。
福島市内では少ない国産にんにくの栽培に挑戦
福島市内では数少ないにんにく栽培農家の「達磨農園」では、白く大きな粒が特長の最高級にんにく「福地ホワイト6片」を、有機JAS認証を目指した有機栽培で育てています。
本田さんは、達磨農園の運営を任されています。
——福島で農業をはじめることになったきっかけは?
僕は福島市出身・在住で、以前は医療関係のサラリーマンをしていました。なにか新しいことをしたいなと思ったときに、農業という選択肢があったんですね。それで試しにやってみようと、脱サラしてキュウリ農家で約4年間研修を受けていました。やっているうちに、農業は案外自分に合っているなという感覚があり、独立も考えていました。
そのころ、僕の幼なじみの同級生で、東京・原宿でタトゥーやアパレル関連事業を行う株式会社TOKYO HEART 代表の山田が「衣食住の『食』に関することをやりたい」と。じゃあ農業を一緒にやろうということで、福島市内で農業に取り組むことにしたのが達磨農園のはじまりです。基本的には僕が農業自体をやっていて、会社でブランディングをして、発信もして、販売するという流れです。
令和3年にスタートし、今年で4年目を迎えます。
——なぜ、にんにくの栽培を行うことにしたのですか?
最初は、農園で夏野菜のセットを作ったこともありましたが、なかなか上手くいかなかったんです。農業のスキルが足りていない状態で、いろいろな野菜に手を出してどれも中途半端で終わってしまうよりは、何か一つに絞ったほうがいい、そう思いました。また、夏野菜は毎日大量に収穫できますが、それを直販だけでどうやって売り切るのかという問題もありました。
やはり作物自体に保存性があるものがいい、そう考えていろいろ探していくなかで、にんにくにたどりつきました。
にんにくは保存性が高く、ある程度の単価も見込め、さらに商品として加工もできます。国産にんにくの最高峰・青森の『福地ホワイト6片』という品種なら、同じ東北で寒冷地向けの品種なので、福島でも作れるだろうと考えました。
あとは、どうせ作るなら栽培を手がけている人が少ないものがいいなと。お客さまに直接販売したいと考えていたので、それらを叶えるのがにんにくだったんです。僕がにんにくが好きだというのもありますね。
『福地ホワイト6片』は名前の通り、1玉に4〜6片と一粒が大きいのが特長です。香りが強くて、一粒に濃厚な味わいと栄養が詰まっています。
お客さまへの直販と、ヴィンテージ栽培にこだわる
——達磨農園さんで取り組んでいる「ヴィンテージ栽培」は、どのような栽培方法ですか?
一般的な野菜はF1品種と呼ばれ、種を購入し、それを植えて育てるというやりかたです。「ヴィンテージ栽培」は僕たちの造語で、自分たちで収穫したにんにくを種として植えて、それを育てて翌年収穫するという、昔ながらの方法で栽培することを指しています。そのように種をつないできたものを一般的には「在来種」と言っていますね。
ただ、在来種の野菜というのは栽培がちょっと難しいんです。F1品種というのは、要は収穫量や育てやすさ、病気に対する強さなどをいろいろ追い求めた結果ですので。それに比べると在来種は病気になりやすいし、収穫量も減ります。あえて在来種を作るなら、そういうところで付加価値をつけようということで「ヴィンテージ栽培」と呼ぶことにしました。
うちの会社ではヴィンテージもののバイクやデニムも取り扱っているので、そういう昔ながらの良さというものを表現したいということもあって「ヴィンテージ」という言葉を選んでいます。
——「古き良き文化を新たな視点から後世に伝える」と、公式サイトにも書いてありましたね
農業離れなんて言われていますが、「農業ってかっこいいもんだよ」って思ってもらえるような活動をしようという方針で、それこそ、服もそうだし、やり方もそうだし、農家としての働き方やライフスタイルみたいなところも見せて、そこに魅力を感じてもらおうと、そういう想いで活動しています。
——SNSを拝見して、農作業をするのに「白」を着ていらしたのが印象的です
最初は僕も白のユニフォームにびっくりでしたけど、あえて汚して、その汚れが馴染んでいくかっこよさを楽しもうというスタンスでやっていて。
——そんな感性も、特に若い人たちがお洒落でかっこいいと思うところなんでしょうね
——また、直販にこだわっていると伺いました
自分たちの強みはInstagramやYouTubeなどのSNSを使った情報発信にあって、その強みを活かすため、お客さまに直接販売することにこだわっています。
やっぱり対面で販売するのは楽しいですね。ダイレクトに感想をいただけるのは僕たちのやりがいにも繋がります。
もう一つの理由は、福島でにんにくを栽培している人が少ないので、市場に出したとしても少量ではいい値段はつかないんですね。例えば青森のように、にんにくの生産が日本の7割を占めているような圧倒的なシェアがあれば、農協に卸し、強気な価格設定をしてもらうこともできる。でも生産量が少ないとそういうことができないんです。
最近Instagramや、商品を卸しているお店を通じて「達磨農園を知っているよ」とか「ロゴを見たことがあるよ」と言ってくれる人が少しずつ増えてきたなと実感し始めています。
にんにくは「軽トラ市」などのイベントに出店したり、あとは市内の小売店や、オンラインショップで購入できます。取り扱ってくれる飲食店も増えてきました。
地元・福島を盛り上げたい
——イベントにも積極的に参加されていますね
僕らとしては、若者に向けて刺激になるような活動をしていこうというのはもちろんあるんですけど、一番の軸は、僕と代表はどちらも福島出身で、福島市で生まれ育って、やっぱり地元が好きなので、地元を盛り上げたいという想いがあります。
福島を盛り上げるために、農業について発信しながら、駅前で地元を盛り上げようと活動している人たちや飲食店の人たちと一緒にイベントをやりましょうという動きを積極的にしています。
あと、僕は福島市農業後継者連絡協議会にも入っていて、福島県産の農産物のPR活動などもやっています。そういえば昨年(2024年)は過去で一番新規就農者が多かったそうですよ。20代の方も結構いたような印象を受けました。僕が農業を始めた頃はどこまでいっても自分が最年少だったんですが、最近は少しずつ若い人たちが増えてきているようです。
福島市産のにんにくはほとんどありませんので、地元で穫れたにんにくを食べるチャンスって市内の人でもなかなかないと思うんです。市内の皆さんが手軽に、福島市で穫れたにんにくを食べていただければなというのが僕は一番ですかね。福島市でにんにくを作ってる人がいるんだと、そこをまず知ってほしいと考えています。
ですので、いろいろなところで取り上げていただけるのはありがたいです。
オススメのにんにくの食べ方
——本田さんオススメのにんにくの食べ方をおしえていただけませんか
やっぱりパスタやアヒージョに使ってくれる人が一番多い気がしますね。僕的に最初にやってほしいのは、すりおろしてカツオの刺身の薬味として食べてもらうことかな。
あとは、うちだけかもしれませんが、子どもの頃から「揚げ茄子」をにんにく醤油で食べるんですよ、生姜醤油じゃなくて。それがすごく美味しくて。やったことのない方はぜひ試してもらいたいですね。
生のにんにくのほか、スパイスとスープも作っています。にんにくで加工品が作れないかと探していたときに、大阪の出汁屋さんが「にんにくでスパイスが作れますよ」と。それでいろいろ試行錯誤しながら作ってもらいました。バーベキューやキャンプシーンなどを想定して作っていたんですが、調味料として結構万能で、飲食店さんだとポテトや唐揚げにかけて提供してもらったりしています。
僕は今朝、卵かけご飯ににんにくスパイスをかけて食べてきました。結構美味しいですよ!
名称 | 達磨農園 |
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お問い合わせ | 公式サイトの問い合わせフォームをご利用ください |
HP/SNS | 達磨農園 公式サイト オンラインショップ YouTube(OMOSSY CHANNEL / オモシーチャンネル) |
達磨農園のにんにくが買える店・食べられる店
買える店(2024年11月現在)
食べられる店(2024年11月現在)
- 生パスタのお店 Cuocca(クオッカ)
- 笑夢 CURRYRIA&CAFE
- 居食厨房ちゃりちゃり
- バン才-BANZAI-
- やきとん あざます
- やきとり 江口
- アケボノバラック
- 来音(ライオン)
- らーめん餃子 おがた
- ステーキハウス OZ THE BUTCHERS
- にかい也
- 食堂 和(キッチンカー)
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