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果樹加工勉強会で開発した商品やメニューを披露、協会・民間・行政で今後の展望を探る

第3回果樹加工勉強会・意見交換会(11/25)参加レポート

第3回果樹加工勉強会

11月25日、四季の里 憩の館(旧そば屋)を会場に、第3回果樹加工勉強会が開催されました。最終回となる今回は、各事業者が規格外果物から試作したピューレを使って開発した商品を持ち寄り、報告・試食・撮影が行われました。
勉強会で生まれた事業者・協会・行政のつながりはかけがえのないものとなり、今後も有志での活動が続いていくとのことで期待したいです。

勉強会の集大成となる報告会の様子をレポートしていきます。

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趣向を凝らした試作品の数々がお目見え

一般社団法人 福島市観光コンベンション協会(以下、協会)の 金澤さんから挨拶の後、各事業者持ち時間10分ほどで、開発秘話や苦労した点などの報告が行われました。

第3回果樹加工勉強会
第3回果樹加工勉強会

パティスリーエクロール|桃のギモーブ

ピューレへの考え:購入して使いたい、国内外へ福島の果樹を知ってもらえるピューレが広まってほしい

第3回果樹加工勉強会

パティスリーエクロール|桃のギモーブ

市内で製菓店を営む「パティスリーエクロール」の鈴木さんは、クリスマスに向けて多忙のため不参加となりましたが、金澤さんから商品の説明がありました。

鈴木さんが開発した商品は福島産の桃ピューレを使ったギモーブ。フルーツピューレを煮詰めてゼラチンを加え、泡立てて固めて作るフランス発祥のお菓子です。

鈴木さんからは「今回使用した『さくら白桃』の白桃ピューレは、色が綺麗で味わいも良いが、繊維質の舌触りを滑らかにしつつ、桃の味わいを残すのに工夫が必要だった。『きららのきわみ』の黄桃ピューレは今まで使用したことがなかったが、繊維質も少なめで、味が強く出ているので使いやすかった。今後も継続して勉強会に参加していきたい」とコメントをいただきました。

「輸入ピューレに頼らず福島の果物を地産地消できないか」という鈴木さんの意見も、果樹加工勉強会が実現したきっかけとなりました。


あづま果樹園|フローズンドリンク・桃スペシャル

ピューレへの考え:ピューレ作りを依頼したい or 作りたい、ピューレを使いたい

第3回果樹加工勉強会

あづま果樹園の吾妻さん

市内で「あづま果樹園」を営む吾妻さんは、果樹栽培のほかにも経理・事務作業、加工品の開発・販売まで幅広く担当しているため、手の込んだデザートを一から開発するのではなく、これまで販売してきた商品とピューレを組み合わせて付加価値化したいと考えています。

夏場には、100%果汁ジュースをフローズンドリンクとして販売しており、桃ピューレや果肉が残るジャムをトッピングしてアクセントを加えることを検討中です。本格的な販売開始は来年の2025年夏を予定しています。

また、あづま果樹園で、角切り桃と桃のフローズン・桃ソフトクリーム・桃ジャムを盛り込んだ夏季限定販売のスイーツ「桃スペシャル」が好評だったことから、10月頃まで収穫できる桃「CX」などを活用して年間を通して販売できる商品にしていきたいとも考えています。需要に応じて、果樹園で出た規格外品のピューレへの1次加工も視野に入れています。

第3回果樹加工勉強会
第3回果樹加工勉強会

あづま果樹園|桃のフローズンドリンク(左)と、生の桃をふんだんに使った桃スペシャル(右)


ラポール泉|常温保存できるゼリー

ピューレへの考え:ピューレ作りを引き受けたい、ピューレを使いたい

第3回果樹加工勉強会

ラポール泉の仲沼さん

「ラポール泉」の仲沼さんは、市内の福祉事業所で利用者と一緒に焼き菓子などの菓子作りを行っています。チョコ菓子も手がけていますが、夏場は売上が落ちるため、果樹加工に挑戦しようと勉強会に参加しました。

開発した商品はコラッセふくしまの福島県観光物産館 特設ブースで期間限定販売を予定していますが、「冷蔵・冷凍品を売るスペースを確保するのは難しい」と助言を受けたため、常温で保存可能なゼリーの開発をスタート。試作品として、3種の桃ピューレ、りんごピューレ、規格外ぶどうピューレの加工品をそれぞれ持参してくださいました。
これらは常温保存が可能で、冷凍すればシャーベットのような食感を楽しめるそう。

仲沼さんは「通年を通して果物を美味しく味わえるようにできれば」と意気込みます。

第3回果樹加工勉強会

ラポール泉|常温保存できるゼリー


松島屋旅館|カップティラミス

ピューレへの考え:ピューレ作りの加工場を作りたい、ピューレを使いたい

第3回果樹加工勉強会

松島屋旅館高橋さんご夫婦と商品開発者の渡邊さん

飯坂町の老舗旅館「松島屋旅館」は、2024年3月のグランドオープンに向けてリニューアル中です。フロント脇には、チェックイン前後にゆったり過ごせるカフェバーが設置される予定です。オープン後は加工室もできるので、加工品にも挑戦したいと考えています。

松島屋旅館の高橋さん夫妻はリニューアル業務で多忙のため、協会の紹介で、メニュー開発をソニーマーケティング株式会社の渡邊昭仁さんが担当しています。
2023年10月に福島市で開催された「SONY CREATORS’ CAMP」で、福島市を訪れた渡邊さんと協会のご縁がつながりました

渡邊さんは法人営業や海外マーケティング、企画など多岐にわたる業務を経験してきた一方で、プライベートでもペットイベントでフォトグラファーとして活動したり、飲食店を手伝ってきたりと、多彩な活動を行っています。
三方良しの精神を大切にする渡邊さんのマーケティングへの考え方や企画力に感銘を受けた金澤さんは「松島屋旅館のメニュー開発をお願いできないか」と打診。
これに対し渡邊さんは「畑違いだけど、福島市のために何かできるなら」と快諾し、プライベートで協力してくださることになりました。

今回渡邊さんが開発した試作品は、カップティラミスです。

第3回果樹加工勉強会

松島屋旅館|カップティラミス

この商品を開発した背景には、以下のようなプロセスがあります。

まず、飯坂温泉街における課題を挙げていきます。

  • 旅行者はお昼を食べてから15時のチェックインまで約3時間ほど、時間の使い方に悩むことが多い
  • 飯坂温泉には軽く食べられるスイーツ系の名物があまりない

そして、若年層やファミリー層、ペット連れの旅行者などをターゲットに設定する場合、以下のようなニーズがあると考えられます。

  • チェックイン前の時間を有効活用したい
  • 移動で疲れた体に甘いものを欲している
  • 夕食が控えているため腹持ちしない軽めの食べ物が食べたい
  • 片手で持ち運びしやすいものがいい(子どもを抱っこする親、犬のリードを持つ人向け)

そこで渡邊さんは、SNS映えが期待でき、片手で持ち運びしやすいカップ型デザートが適しているのではないかと考え、カップティラミスを試作しましたSNSなどでシェアしてもらえるよう、カフェバーの壁におしゃれなフォトスポットも設置予定です。

このように「外部環境(温泉街の課題)と内部環境(ターゲットのニーズ)を分析し、『何を』『誰に向けて』提供するのかを明確にすることで、最適な商品が定まってくる」と渡邊さんは話します。

その他にも、りんごピューレを丸く固めてグリークヨーグルトと合わせたものや、吾妻山をイメージしたジュース、チュロスなど、カフェバーで通年提供できて食事の後も楽しめるようなデザートも鋭意開発中です。

金澤さんは「松島屋旅館に限らず、参加事業者にマーケティングや企画方法を参考にしてもらえれば」と考えています。


キッチンカプリッチョ|桃を使ったミニコース

ピューレへの考え:ピューレを購入して使いたい

第3回果樹加工勉強会

キッチンカプリッチョ|桃を使ったミニコース

石焼生パスタを提供するイタリアンレストラン「キッチンカプリッチョ」の増川さんは、ライブキッチン風にミニコースメニューを披露してくださいました。すべてのメニューに桃ピューレが使われています。

【桃のピューレを使ったミニコース】

  • ヴァンショー(ホットワイン)さくら白桃ピューレを使用
  • にんじんとサーモンの前菜 各ピューレの色をソースで表現したドレッシング3種
  • クレームダンジュをイメージしたスープ 福島市唯一の蔵元「金水晶」の酒粕や甘酒を使用
  • シーザーサラダ風ピザ スモークチーズの生地で、ドレッシングにピューレを使用
  • アヴァンデセール(1つ目のデザート)グレープフルーツと桃のジュレ 桃のグラニテ(氷菓子)
  • カプリッチョ名物 石焼きパスタ(生ナポリタン)パスタとソース両方に黄金桃を使用
  • デザート さくら白桃のアイスとレアチーズ
第3回果樹加工勉強会

デザートをフランベするオーナーの増川さん。良い香りが室内に広がりました

盛り付けを工夫したり、フランベして香りを立たせたりと、その場でしか見られない・食べられない演出に力を入れる増川さん。

「冷製パスタの方がピューレが引き立つが、コースメニューに冷製が多いので今回は温製パスタを選んだ。通年で出すならピューレをそのまま使える冷製の方が合っている。食事メニューなら甘さが足りなくても規格外桃そのままの味を活かせるのでわかってもらえると思う」とコメントをいただきました。

試食・意見交換で、より交流を深める

第3回果樹加工勉強会
第3回果樹加工勉強会

5事業者の報告が終わった後は、試食会と並行してプロカメラマンによる商品・メニュー撮影が行われました。

会場となった四季の里の敷地内には果樹加工場があり、オブザーバーとして参加した市内渡利の「佐藤果樹園」が当日に絞ったりんご「べにこはく」ジュースのほか、りんご「シナノスイート」のジュースや、四季の里が規格外ぶどうの付加価値化で試作してくださった巨峰のジュースも振る舞われました。

第3回果樹加工勉強会

参加事業者はプロカメラマンによる物撮り撮影にも興味津々の様子で、試食しながらお互いの商品や今後の展望について話し合っていました。

事業者同士で連携し、規格外果樹の受け皿となる仕組みづくりを

最後に勉強会講師の齋藤さんと金澤さんから、まとめのあいさつがありました。

齋藤さん:
近年の環境変化を受けて、桃やりんごの規格外品は年を追うごとに増えていくと思います。その受け皿をどう作っていくかが福島の課題です。この勉強会が終わった後も継続して有志で集まりたいと思っています。
来年度・再来年度に向けて、事業のコラボレーションをしたり、販売・ブランディングの意識を高めたり、気兼ねなく意見交換をして、みんなで事業をブラッシュアップしていきましょう。

金澤さん:
福島市は全国でも有数の果樹生産地でありながら、加工場が非常に少ないという課題があります。加工品が少ないために、これまで通年提供できる福島市産のフルーツメニューやお土産品が少なく、「福島市のお土産といえば?」とのお客様アンケートでも「無し」という回答が目立っていました。
今回の勉強会をきっかけに、福島市の加工の現状、規格外果樹について多くの方に関心を持っていただき、果樹園さん、飲食・宿泊・お土産事業者の皆さんと、市内外のお客様ともに三方良しの状況になるよう、福島の宝である果樹を地域で守りながら今後につなげていけたらと思っています。

ピーチホリデイのアンケートで「1次加工品がほしい」という要望から始まった果樹加工勉強会。各事業者とも、1次加工品(ピューレ)を自身の事業にどのように取り入れるかをシミュレーションする良い機会になったのではと思います。

全3回の勉強会は終了しますが、今回生まれた事業者・協会・行政のつながりはかけがえのないもので、ずっと続いていきます。今後も有志で勉強会を行うとのことで、どんな相乗効果が生まれるのか期待したいです。

第3回果樹加工勉強会

近日中に、勉強会に参加した2つの事業者にインタビューを実施します。報告会で紹介した商品やメニューの開発秘話、勉強会への参加の背景、勉強会での学びなどのお話を伺います。どうぞお楽しみに。

勉強会参加事業者の皆さん

― オブザーバー/観覧いただいた皆さん ―

  • 佐藤果樹園
  • カフェ三日月
  • 菅野房吉商店
  • 福島市農業振興課
  • ユナイトワン株式会社

 

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