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聴覚障がいのある方へ必要な配慮とコミュニケーションを学ぶ「おもてなし講座」開催

「また来たい!」と思われる福島市を目指して

講座中の様子

2024年11月、福島市内で「第58回全国ろうあ青年研究討論会」が開催されます。
全国のろうあ青年が一堂に会し、聴覚障がい者をとりまく社会の中で起きるさまざまな問題について討論するもので、11月2日から4日までの3日間、聴覚に障がいのある青年と、手話通訳者や手話通訳者を目指す青年、約400名が福島市を訪れる予定です。

もし街で聴覚に障がいのある方からお手伝いを求められたら、皆さんはどのように対応しますか?
どうしたらよいかわからない、何もできないという方も多いかもしれません。

今回は、聴覚障がい者への理解を深め、必要な配慮やコミュニケーション力を身につけるため、一般社団法人 福島市観光コンベンション協会が事業者向けに開催した「聴覚障がいのお客様おもてなし講座」についてご紹介します。
皆さんにも知ってほしい、実践してほしい内容をまとめましたので、ぜひ活用していただければ嬉しいです。

きこえない・きこえにくい人とは

2024年7月16日(火)に、福島市の「HOTEL SANKYO FUKUSHIMA」で開催された「聴覚障がいのお客様おもてなし講座」には、11月の討論会に参加するお客様が実際に利用する市内のホテルや交通事業社から20名が参加しました。

講師に一般社団法人福島県聴覚障害者協会所属「第58回全国ろうあ青年研究討論会実行委員会」事務局長の吉田愛(めぐみ)さんをお迎えし、聴覚障がいの特性や必要な配慮とコミュニケーション方法、簡単な手話などを教えていただきました。

また、ご自身も聴覚障がいの当事者である吉田さんが、日常で困ることや助けてもらえると嬉しいことなどについてもお話いただきました。

手話を使って講義する吉田さん

「第58回全国ろうあ青年研究討論会実行委員会」事務局長の吉田愛(めぐみ)さん

最初に、聴覚障がいの種類や特性についてお話がありました。まず覚えておきたいことは「きこえない」ということは、外見では判断しにくいということです。そのため私たちは常に、周囲にきこえない人がいるかもしれないという想像力を持つことが大切です。特に緊急時には、周りの人が気づくことで危険を回避できることがあります。

また聴覚障がいは、ろう者、難聴者、片耳だけきこえない人などさまざまで、聞こえ方にも差があります。そのため、どんなサポートが必要かも人によって違います。困っている様子を見かけたら、相手から見えるように視線を合わせるか、肩を軽くたたくなどして「何かお手伝いしましょうか?」と声をかけてみましょう。

6つのコミュニケーション方法

きこえない人とコミュニケーションを取る方法として手話を思い浮かべる方が多いと思いますが、手話のほかにも筆談、指文字、身振り、空書、口話など、6つの手段があります

必要なサポートは人それぞれ違います。ゆっくり話す、筆談で話す、手話ができる人のところへ案内するなど、相手の希望をお聞きしてみるといいですね。

手話は聴覚障がいのある方にとって大切な言語ですが、手話ができないからと距離をおく必要はありません。コミュニケーションの取り方は一つではありませんから、筆談や身振りなどいろいろな方法を併せて使ってみましょう。

講座中の様子(コミュニケーションの6つの方法)

通訳者ではなく話者本人を見て話をしよう

今回の講座では、聴覚障がい者とそうでない人が話す際に手話と音声言語の通訳をしてくれる手話通訳者が、吉田さんの手話を通訳して音声で媒介してくれました。
無意識に声の聞こえる通訳の方を見てしまうのですが、吉田さんの「こちらを見て話を聞いてほしい」という言葉を聞いてハッとしました。話を聞く相手は吉田さん本人だからです。

吉田さんの顔を見て話を聞いていると、その手の動きや表情などから話の内容を理解できる部分もありました。手話ができなくても、相手の目を見て理解しようとする努力、伝える努力をしてみることが大切だと感じました
手話通訳ができる人が同行している場合も、通訳者に話しかけるのではなく、本人の目を見てゆっくりと話しかけるようにしましょう。

福島市では「手話は言語」であるという認識に基づき、ろう者および手話への理解を深め、お互いに人格と個性を尊重し合う共生社会の実現を目指し「手話言語条例」が制定されています。

手話を使って講義する吉田さん

講座の後半では簡単な手話講座がありました。
接客で使う単語も教えていただき、参加者の皆さんは、実際に使う場面を想定し熱心に練習されていました。

手話を練習する参加者
手話講座の様子

「おはよう」「こんにちは」「こんばんは」は、「グー」「チョキ」「パー」で伝えることができます。まずは簡単な挨拶の手話から覚えてみませんか!

情報のバリアフリー化で、誰もが生きやすい社会に

私たちは日常生活の多くの場面で、音声からの情報を利用しています。もし音声情報がなくなったらどうなるでしょうか。テレビを観るとき、病院の受付で呼ばれるとき、駅や電車内のアナウンス、電話をかけたいときなど、さまざまな場面で困ることが増えるでしょう。

この不便さを解消・軽減するにはどんな方法があるでしょうか。例えば、テレビには字幕放送や手話通訳付き放送があります。病院では受付の人が直接声をかけてくれると助かります。駅や電車内では文字情報を増やすことでアナウンスの内容が理解しやすくなります。
さらにFAXのほかにも、音声認識と自動翻訳を活用したスマートフォンのアプリ(UDトークこえとら)、電話リレーサービスなどが普及し、電話と同様にコミュニケーションを取ることができるようになりつつあります。

他にも、メニューに写真や説明文があったり、指さしで意思が伝えられるような指さしボード、必要なサービスについての質問表などが事前に用意されていると、とても助かるそうです。

障がいのある人もない人も、同じタイミングで情報を取得でき、意思疎通の手段を選べるような社会を目指していきたいですね。

参加者の皆さんからは以下のような感想をいただきました。

きこえない状況を想像することはできても、「常に」聴覚障がいの方が近くにいるかもしれないという意識を持つことは簡単ではないと感じました。お客様をお迎えする立場にあるので、この意識は常に持っていたいと思いました。

自己紹介のときに、吉田さんではなく通訳者を見てしまったり、講義中も無意識にスライドや資料ばかり見てしまったのが反省点。手話も言葉だというのが印象的でした。

目と目を合わせて会話(手話)をする大切さを改めて学びました。障がいのある方の気持ちになって準備することが必要だと感じました。

手話講座は今までも何度か受けたことがありましたが、吉田さんの多様な表情や人柄が伝わる講座で、伝え合いたいという気持ちが伴い、一番身についた気がします!

今年9月にも、今回の講座と同じ内容で開催予定です。

来年秋、デフリンピックのサッカー競技が福島で開催

今年11月に福島市内で開催される「第58回全国ろうあ青年研究討論会」に続き、2025年秋に日本で初開催される聴覚障がい者のための国際的なスポーツ大会「デフリンピック21競技のうち、サッカー競技が福島県のJヴィレッジで行われることになっています

選手はもちろん、家族やスタッフ、応援者など、多くの人が福島県を訪れることが予想されます。
「福島市にまた来たい!」と思われるおもてなしを目指して「何かお手伝いしましょうか?」と声をかけることから始めていきましょう。

【参考資料】

またみんなが来たくなるふくしまのおもてなし

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