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誰かの人生を変えるような「ゆうやけベリー」を作りたい。片平果樹園・片平聡さん

“福島のいちご”を盛り上げるために活躍する若き生産農家さんを取材

片平果樹園・片平聡さん

いちごが美味しい季節を迎えています!
道の駅ふくしまでも、販売ブースに並んだいちごに人だかりが絶えず、いちごを使ったスイーツも大人気ですね。

福島のいちごで今注目を集めているのが、期待の新品種「ゆうやけベリー」。

この、ゆうやけベリーの栽培を最初に手がけた農家の一人で「ふくしまベリーボーイズ」のメンバーでもある、福島市下飯坂の片平果樹園・片平聡さんに、ゆうやけベリーといちご栽培にかける想いについてお話を伺ってきました。

ゆうやけベリーってどんな品種?

ゆうやけベリー

「ゆうやけベリー」は、甘くてジューシーな「とちおとめ」と、酸味が穏やかで香り高い「かおり野」を交配して開発された、福島県オリジナル品種のいちご。2012年から10年もの月日をかけて開発されました。

開発時「福島 ST14号」と呼ばれていたこのいちごは、甘みと香りの強さが際立ち、大粒の橙色がかった鮮やかな実の色が夕焼けの空を思わせることから「ゆうやけベリー」と名づけられました。
ゆうやけベリーは、「ふくはる香」や「ふくあや香」以来、福島県オリジナルいちご品種としては20年ぶりに登場した、期待の新品種なのです!

片平さんは2022年の試験栽培から携わり、今年2024年で2年目の出荷となります。

昔はいちご栽培が盛んだった福島市

片平果樹園では、いちごの栽培をはじめ、桃やブドウなどの果樹も生産しています。

聡さんは果樹園の4代目。昨年2023年8月には、日本野菜ソムリエ協会が主催する「全国桃選手権」において、品種「まどか」で最高金賞を受賞。10月の月例品評会では、ブドウの「シャインマスカット」で最高金賞を受賞という成績をおさめている、実力ある若手生産農家です。

片平果樹園・ハウス内

——片平果樹園では昔からいちごを栽培していたのですか?

いちごの栽培は、祖父の頃にはやっていたと思います。
昔はこのあたりにも結構いちご農家さんがあったんですが、だんだん皆さん贈答用に向いた果樹の栽培に転換し、いちごを継続してやっているところが少なくなってきました。
ですので「福島市でもいちごの栽培をしているんだ」という人のほうが多くなってきたようです。

今は東北だと宮城県の亘理がいちご栽培で有名ですが、昔はその亘理から福島に、いちご栽培の研修に来ていたんだと話に聞いたことがあります。
そのくらい、昔の福島はいちご栽培が盛んだったんですよね。

ベリーボーイズの活動を通じて福島のいちごを盛り上げる

ふくしまベリーボーイズの皆さん

ふくしまベリーボーイズの皆さん。前列左が、片平聡さん。

——ふくしまベリーボーイズ結成のきっかけは?

2023年4月に道の駅ふくしまが開業するときに、福島市の方針として「福島のいちごをPRしたい」という話があったのがきっかけです。
それで、仲の良かったいちごの若手生産者に声をかけ、開業前年の11月頃から毎月集まっていたんです。そのうち「どうせならグループの名前を付けよう」ということになり、それで「ふくしまベリーボーイズ」という名前を付けてもらったんです。

ふくしまベリーボーイズも、道の駅ふくしまも、福島のいちごに関しても盛り上げていければなと。

福島のいちごには、ふくあや香と、ふくはる香という品種もありますが、せっかくいいものがあるのに福島は昔からPRが足りないんですよね……。
僕たちは、他県の品種よりも自分たちの県で作ったオリジナルのいちごを作りたい。なので、ゆうやけベリーがメジャーな品種になるよう、しっかり宣伝していきたいと思っています。

道の駅ふくしま内、いちご販売ブース

道の駅ふくしま内の、いちご販売ブース

——色がオレンジがかっていて、華やかで綺麗ですよね。あと大きくて甘い!

そうですね。だから最近「ゆうやけベリーがいい」と言ってくれるお客さんが増えています。でも、まだなかなか個人の方に直接お渡しすることができなくて。

とちおとめと比べると、ゆうやけベリーはちょっと栽培が難しいんです。実が柔らかくて触っただけで傷ついてしまうし、収穫のタイミングや量にも波がある。本当は県外や海外にも発送していきたいんですけど、そのあたりにまだ課題があります。

それさえクリアできれば、味は美味しく実も大きいし、福島を代表する果物になるんじゃないかなと思っています。

爆盛りいちごの雪まみれ(いちごパフェ)

道の駅ふくしまで、期間・曜日限定で販売する「爆盛りいちご(ゆうやけベリー)の雪まみれ」

フルーツファクトリー雪うさぎ
フルーツファクトリー雪うさぎ

若い人たちに入ってきてほしい

——これからゆうやけベリーを栽培する農家さんは増えますか?

福島県や福島市も力を入れていますので増えていくと思いますが、まだまだ少ない。若い人が入ってきてくれて栽培農家さんが広がっていくのが理想です。

いちご栽培は設備の初期投資も結構かかりますので、自治体のほうでそのあたりに対応してもらえたら、これからいちごを作りたいという方も増えるんじゃないかなと話しています。
果樹栽培は結構力仕事が多くて男性向きなんですが、いちご栽培は女性が活躍できる農業だと思っているんですよ。

いちごを作りたいという若い人たちを増やしていきたいということもあって、ベリーボーイズをなんとか成功させたいですね。
ベリーボーイズに入ってくれたら、自分一人でお客さんを探すよりは売りやすくなりますし、そのような受け皿となって、農業に入りやすく続けやすくしていきたいなと。
そうしないと、あと20年経ったら福島市からいちごが消えてしまうような状況なので、それは避けたいよねとみんなで話しています。

ベリーボーイズの中に静岡から移住して新規就農してくれた水野くんがいるんですが、成功すればモデルケースになれると思うんです。
福島市も移住に関して力を入れてくれていますので、これから農業をやりたいという人が、移住してからちゃんと生活できるような環境を作ってあげられるかどうかが大事なのではないかなと考えています。

片平聡さん

僕はあと20年くらいで農業を辞めようかなと考えていて。周りでは80代の方も続けておられますが、たぶん僕はそこまでは集中力が持たないタイプなので。今、やれるときに一生懸命、地域のために力を出してやっていきたいなと思っています。

いちごは年に1回しか作れませんから、あと20年だとすると、20回しか作れないということなんです

ベリーボーイズは僕が一番上で44歳、あとはみんな若くても30代後半くらいですから、あと20年経ったら60歳か……と思いながら、60歳で「ボーイズ」はないよなと(笑)

その前には若い人たちに入ってもらって、栽培に関する知識を伝えながら、人も循環していかないとね。

システムエンジニアから農業へ

——片平さんは、すぐに農家を継いだのですか?

高校を卒業したあと埼玉の大学に行き、そのあと30ぐらいまでシステムエンジニアとして都内で勤めていたんです。
両親も年を取ってくるし、弟は絶対に農業には就かないだろう、じゃあ俺がやるかと、30歳を機に福島に戻ってきたのが2010年、震災の前の年でした。そこからずっと農業をやっています。農家なんてやってられるかって出ていったのにね(笑)

——だからデータ管理や新しいシステムの導入はお得意なんですね

そうですね、僕は感覚ではなくデータを元にやりたいほうですね。うちで取っているデータはベリーボーイズの皆と共有し、栽培に活かしています。

地下水の熱を利用して温度・湿度を保つ装置

片平果樹園では暖房機は使わず、常に14度近くを保っている地下水の熱をハウスの保温・保湿に利用する装置「ナチュラルエコ」をいち早く導入している。暖房と違って急に温度を上げることはできないが、一定の温度に保つことができ、エネルギー利用の観点からもエコロジー。データはベリーボーイズの皆で共有している。

ゼミの合宿で、人生を変えるイチゴと出合う

——弟さんが継ぐと言っていたら、システムエンジニアを続けていましたか?

どうでしょうね……。
大学のときに栃木県内でゼミの合宿があって、そのホテルのバイキングで食べたいちごがすごく美味しかったんですよ。うちでもいちごを作ってたんですけど、比べものにならなかったです。

「バイキングに普通にこんなに美味しいいちごを置いておくの?」という感じで。そのとき僕、肉とかそっちのけで、いちごしか食べなかったですもんね。この味を覚えておこうと、ひたすらいちごを食べて。そのぐらい衝撃的に美味かったですね。

このくらい美味しいいちごが作れるんだったらやりたいなと、それまではまったく、本当に高校卒業するまでは農業はやりたくなかったんですけど、そのいちごを食べた瞬間に「あ、ちょっと農家いいかもな……」と思ったんです。

片平果樹園

人の心に残るいちごを作りたい

——そのときのいちごが、片平さんの人生を変えるきっかけになったと

そうかもしれないですね、本当にそのくらい美味しいいちごを目指して今もやっています。

そう考えると、もしかしたらうちの果物を食べて「あ、農業やりたいな」っていう人がいるかもしれないし、どこかでゆうやけベリーに出合って「こんなに美味しいイチゴがあるんだ!」と、そう思ってもらえるようないちごや果物を作っていきたいなと、すごく思います。

——今度は片平さんのいちごが、誰かの人生が変わるきっかけになるかもしれませんね

はい。本当に、誰かの人生のきっかけになれれば面白いかなって。
ゆうやけベリーを一人でも多くの方に知ってもらい、皆さんに美味しいって言ってもらえるものを作りたいですね。

片平さんのゆうやけベリーが買える店・食べられる店

ゆうやけベリーは12月頃から出荷が始まり、例年6月くらいまでは収穫可能。
4月〜5月は意外と収穫量が多いので、試しに買ってみたいなという方は、安定的に出荷できるこの時期がおすすめとのことです。

買える店:道の駅ふくしま

道の駅ふくしま・いちご販売ブース
道の駅ふくしま・外観

片平さん「当初からずっと道の駅ふくしまさんと一緒にやってきましたので『道の駅ふくしまに行けば買える』という状態にはしておきたいと考えています。
道の駅での販売は、昨年は曜日を決めて出荷していましたが、今年は5人が栽培していますので曜日は決めていません。入荷の時間はバラバラですが、11時くらいには結構並んでいるかと思いますので狙い目です。
土日はたくさん売れてしまうので、月曜日の納品はちょっと厳しいのですが、それ以外はほとんど買えると思いますよ

食べられる店:CANDY-DO(キャンディ・ドゥ)

福島市内に2店舗あるパンケーキ専門店「CANDY-DO」笹谷本店と大町店では、片平さんのゆうやけベリーを使用した「スペシャルいちごパンケーキ」を数量限定販売中。

CANDY-DOの抹茶大福パンケーキ

撮影時は「抹茶大福パンケーキ」(税込1,100円)。プラス100円で、イチゴをゆうやけベリーに変更してもらえます。

車で行くなら笹谷本店、旅ナカや公共交通機関での移動時には福島駅に近い大町店が便利です。

※道の駅ふくしまでも、CANDY-DOさんのパンケーキを販売しています。

今後の予定

ゆうやけベリーのメニューやお土産品は今後も増えていく予定です。追って記事でご紹介していきますので、お楽しみに!

ふるさと納税に「ゆうやけベリー」登場

片平果樹園さんの「ゆうやけベリー」が、福島市のふるさと納税返礼品に登場しました!
手塩にかけて育てたいちごを、一番美味しいときを見極めて収穫し、採れたてを発送してもらえます。
まだまだ数量が少なく貴重なゆうやけベリー、ぜひ味わってみてください。

お申込受付期間は2024年2月21日までですのでお早めに!

福島市産 いちご ゆうやけベリー1箱12粒(400g)×2箱【2024年発送】寄付金額23,000円
申込受付期間: 2024年2月21日まで

楽天ふるさと納税 さとふる
ふるさとチョイス ふるなび
セゾンのふるさと納税 auPayふるさと納税
ふるラボ

福島市産 いちご ゆうやけベリー1箱12粒(400g)【2024年発送】寄付金額13,000円
申込受付期間: 2024年2月21日まで

楽天ふるさと納税 さとふる
ふるさとチョイス ふるなび
セゾンのふるさと納税 auPayふるさと納税
ふるラボ
村上瑞恵

レギュラーライター /編集・ SNS担当

村上瑞恵

地に足のついた生活がしたいと、2006年に都内から福島県にIターン。パソコン通信時代からのPCユーザーで、サイト運営やSNS運用などデジタル方面にわりと強いガジェットおたく。地域のICT化推進事業に携わったのち、Web制作会社で観光情報サイトの編集やSNSを活用した販売促進・ファンづくりを担当し、2022年9月に独立。休みの日はカメラ片手にバイクや車で出かけている。

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