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福島駅前通りに「プレバト!!」スプレーアート展示中
大学生や高校生とのアートのコラボレーションもあり、駅前に賑わいが!
福島駅東口駅前通りに突如として現れたアート作品の数々、皆さんはもうご覧になりましたか?
週末にはこれらのアート作品を一目見ようと、市外や県外からも見物客が訪れ、駅前通りに賑わいが生まれています。
人々の目を和ませてくれるこれらの作品、なぜ駅前通りに展示されることになったのでしょうか。
駅前再開発を進める「福島駅東口地区市街地再開発組合」と「福島市役所 市街地整備課」に、裏側のストーリーを伺いました。
「福島」をテーマに芸能人が手掛けたスプレーアートを展示
現在、福島駅東口駅前通りには、再開発工事のため福島駅東口地区市街地再開発組合が設置した仮囲い(白い鉄の壁)に、2m四方のスプレーアート作品が計10点展示されています。
これらは、8月3日に放送されたテレビユー福島の人気番組「プレバト!! 3時間スペシャル」の企画で、再開発が進み人通りが少なくなってしまった駅前通りを盛り上げようと、「福島」をテーマに、芸能人の方々の手によって制作されたものです。
スプレーアート作品が設置された放送翌日の8月4日は、わらじ祭りの初日とタイミングが重なったこともあり、多くの見物客が訪れました。
また、8月26日からは同じ東口駅前通りで、福島学院大生と福島東稜高校生が共同制作したデザイン画の展示も行われています。
週末になるとこれらのアート作品を一目見ようと、福島市内はもとより市外や県外からも多くの見物客が訪れ、駅前通りが賑わっているのです。
人通りが減った駅前を盛り上げる2つのプロジェクト
これらのアート作品展示の背景には、2つのプロジェクトが関わっています。
駅前再開発を進める 福島駅東口地区市街地再開発組合と、福島市役所 市街地整備課がタッグを組み「駅前を盛り上げるために何ができるか?」を考えました。
2022年7月に解体工事の安全祈願祭を行って以降、東口の再開発が本格化し、「百貨店・中合」や「ホテル辰巳屋」が入っていたビルの解体工事が始まりました。安全対策のための仮囲いがビルを取り囲んだことで、駅前通りの街並みは殺風景な印象に……。
駅前を歩く学生や地域の方からは「店も減って、寂しくなっちゃったね」という声も聞かれるようになりました。
そこで福島市役所 市街地整備課では、駅前を利用している学生たちに呼びかけ、次世代を担う若者の感性で街の賑わいを創出する取り組みとして2022年11月から学生目線の意見交換会を実施。
さまざまな意見の中から「白い仮囲いをアート作品でにぎやかにして、街に人を集めよう!」と、学生主体による仮囲いのフォトスポット化が決定しました。
プロジェクトには、福島学院大学の学生6名と、福島東稜高校の生徒13名が参加。ももりんや花火など、福島市ゆかりのモチーフを題材に、一人ひとりの思いをアート作品として形にしていきました。プレバトのスプレーアート作品と同じ2メートル四方にキャンバスサイズを合わせることにより、統一感を持たせています。
2023年5月に一旦作品は完成したものの「もっと若者らしい、楽しいものを!」という木幡市長からの激励を受け、ゼロから描き直した作品もあったとのことです。
福島東稜高校代表 石川紗也さん:
私は高校生活で毎日福島駅を利用していますが、この3年間、人の少なさや賑わいの寂しさを感じていたのが本音です。仮囲いのフォトスポット化にあたって、駅前を通る人たちにどんな体験を提供できるかを話し合いながら、作品制作を進めました。この作品があることで、一人でも多くの人が、1分1秒でも長い時間、福島の街に滞在してもらえれば嬉しいです。
こうした学生たちの活動の一方で、福島駅東口地区市街地再開発組合では、テレビユー福島の全面協力のもと、プレバト!!の企画化が実現。
6月~7月頃から芸能人による作品制作が始まり、7月に番組撮影、8月には作品が完成し、お披露目を迎えました。
このような背景から、プレバト!!のスプレーアートと、学生たちのアート作品のコラボレーションが実現しました。
アート作品は2024年3月末まで展示する予定です。
福島市役所 市街地整備課 石田さん:
スプレーアートも学生アートも、それぞれの魅力により工事期間中の街を盛り上げています。
今回、両者のアートが完成したことにより一体感が生まれ、さらに魅力あるフォトスポットとしての相乗効果も期待しています。
福島駅東口駅前再開発の進捗状況は?
再開発事業では、福島駅東口駅前通りにあった辰巳屋ビルや平和ビルなどが取り壊され、再開発エリア内に複合棟、駐車場棟、住宅棟が建設される予定です。
複合棟:商業、福島駅前交流・集客拠点施設、オフィス、ホテル
駐車場棟:駐車場、商業、業務
住宅棟:分譲マンション
気になる進捗状況を聞いたところ、現在、工事費の縮減などに取り組んでいるため、完成予定が令和8(2026)年から令和9(2027)年にずれこむ見込みだそうです。
どのようなお店やテナントが複合施設に入るのかはまだ未定とのこと。正式発表を楽しみに待ちましょう。
福島駅東口地区市街地再開発組合 事務局 南條さん:
かつて中合や辰巳屋が入っていたビルは福島市を象徴する場所でした。再開発後も再び「賑わいといえばここだよね」と、福島の顔となるような場所にしていきたいです。
最後に、福島市役所の石田さんと再開発組合の南條さんに、今後の展望をお聞きしました。
福島市と再開発組合は、再開発工事期間中の街の賑わいづくりのためにさまざまな取り組みを進めています。
例えば、小中学生の親子に再開発の現場を見てもらう「現場見学会」や、工事期間中、毎月、近隣ビル屋上の同じ場所から写真を撮影する「定点観測会」など。幅広い世代の人たちに再開発事業に興味や関心、関わりを持ってもらい、街の賑わいを創出する原動力になって欲しいと考えています。
また、学生が主体となり進めてきた仮囲いアートが人の流れを生み出し、この駅前通りを起点に街なかを歩いてもらうきっかけになるといいですね。新たな発見があるかもしれません。
再開発事業はあと数年先まで続きますが、さまざまな方と一緒に、街を元気にしたいと考えています。
おまけ:アートな街歩きができる福島市(マップあり)
今回登場したスプレーアート展示をはじめ、福島市街地にはウォールアート、シャッターアート、黒板アート、彫刻、音楽など、アートに触れられるスポットが多数点在しています。
- 市民センターの建設が進められる福島市役所西側の仮囲いに黒板アート
- 文化通りのラーメン屋さん「うからやから」のウォールアート
- 文化通りの「キング堂美容室」の桜の絵のシャッターアート
- 東北電力前のフェンスに福島をモチーフにしたアート作品
- パセオ通りには彫刻作品が多数
- ボタンを押すと古関裕而のメロディーが流れるミュージックボックス
- 福島駅東口の駅地下歩道にはストリートピアノと階段アート
街なかに散らばるアートを探索しながら、お店に立ち寄ったり、美味しいものを食べたり。芸術の秋にぴったりなアートな街歩きはいかがでしょうか。