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魔女の瞳・浄土平・一切経山! 福島の見どころ満載の活火山登山へ行こう
初心者必見!磐梯吾妻スカイラインの中間地点から始まる登山ルートをご紹介
福島市の西部から山形県にまたがり、2,000m級の山々が東西に連なる吾妻連峰。
なかでも大人気のドライブコース「磐梯吾妻スカイライン」の中間地点「浄土平」周辺は、一切経山・吾妻小富士・五色沼など、ダイナミックな火山地帯や広大で豊かな自然を楽しむことができる散策コースや登山コースが数多くあります。
今回、6月25日に開催された吾妻連峰ウォークラリーに参加して、ガイドさんに道案内をしていただきながら一切経山と鎌沼を楽しむコース(約5時間)を歩いてきましたのでご紹介します!
晴れた日は市内からも噴気が上がる姿が見える、浄土平。実際に足を運んでみると、ダイナミックな火山地帯とそこに生きる動植物達の生命力やエネルギーを肌で感じることができ、とても良い経験になりますよ。
目次
準備が9割! しっかり登山の準備をしていこう
今回ご紹介するコースは、登山初心者から登れるコースです。
初心者OKと聞くと、ちょっと甘く考えがちな私でしたが、それは大間違い! 活火山ですので足場は石がゴロゴロですし、山の天気は変わりやすい。そして風速によって体感温度がまったく違いますので、しっかり“登山の準備”をしていきましょう。
①持ち物の準備
- 登山に適した靴(安全に登山するためにも必須)
- 飲料水(水分補給が必要ですので多めに用意。利尿作用のある緑茶などは避けるのがおすすめ)
- 昼食、軽食(塩分を補給できるものも準備するのがおすすめ)
- ゴミ袋(風があるのでゴミが飛んでいかないよう、すぐにポイ)
- 帽子(アクシデント防止、日焼け防止に必須)
- 長袖(体温調節できるよう必須)
- 汗拭きタオル(汗冷えや日焼け予防に)
- 雨具(山の天気は変わりやすい)
- 着替えなど(汗冷えや雨天時のために)
- 登山用杖(あったら便利)
これからを、リュックなど背負えるものに入れて行きましょう。
また、吾妻山は熊の生息地域です。特に早朝や夕方、霧で見通しが悪い日や登山者の少ない静かな日などの登山時は熊よけの鈴を携行し、自分の存在を熊に知らせ、遭遇しない工夫をしましょう。
②天候の確認
登山当日の朝7時、西の空を見ると薄暗い雲がビッシリで吾妻連峰はまったく見えませんでした。
今日は無理かな? と不安になり浄土平ビジターセンターに問い合わせてみると「ときどき霧が出ていますが晴れてます」と。実際に行ってみると、一度も雨に降られることなく風も穏やかでした。浄土平は雲の上なので、下界とは天候も気温も違います。
また、標高が高いところは100m登ると約0.6度下がる、風速1mにつき体感温度は約1度下がるといわれていますので、出発前に天気予報や浄土平のTwitterなど、天候の確認をしてみてくださいね。
約5時間の一切経山コース
今回ご紹介するコースは、距離7.5km、高低差370mのコースです。
浄土平ビジターセンター▶︎蓬菜山北側登山道▶︎酸ケ平▶︎一切経山▶︎魔女の瞳▶︎酸ケ平▶︎鎌沼▶︎姥ヶ原▶︎蓬菜山南側登山道▶︎浄土平レストハウス の約5時間を歩きます。
9:30|浄土平レストハウス&ビジターセンター
磐梯吾妻スカイラインを上り浄土平駐車場に降り立つと、そこはもう標高1,600mの雲の上です!
登山靴に履き替え、まずは浄土平レストハウスでトイレを済ませましょう(道中にトイレは1か所しかありません)。
また浄土平ビジターセンターでは、浄土平の自然についてわかりやすく展示・解説しています。登山や散策、自然観察についてのアドバイスもしてくれますので、おすすめですよ。
それではいよいよスタートです!
9:45|出発! 浄土平湿原
ビジターセンターの横から続く整備された木道沿いには「浄土平湿原」が広がっていて、高山植物や火山植生を観察することができます。
1893年(明治26)に起こった一切経山の大噴火では直上2,000mもの噴煙が上がり、約1mの火山灰が堆積してしまった浄土平。その後年月をかけ、こうして再生している植物の姿を目にすることができます。
ここが森になっていくにはまだまだ長い年月がかかるそうですが、地球の生命力と自然の回復力の偉大さを感じます。
※高山植物は、触らない・採らない・踏まないを徹底しましょう! 落枝や落葉も同様です。厳しい自然環境で生き抜くために長い時間をかけて適応してきた高山植物は、少しの衝撃で傷ついたり、生命を絶たれることもあります。登山道以外へは立入りせず、貴重な自然の保護に努めましょう。
10:00|登山者カードを投函
湿原の先には、登山者カードを投函するポストがあります。万が一の遭難に備え、しっかり登山届を出して行きましょう。カードは投函口の下に用意されています。
その後は、今も噴気を上げる岩肌を間近に感じながら〜
ゴロゴロした石道を30分ほど登っていきます。
ひたすら歩くと分岐点が見えてきました!
右折し、一切経山の山頂を目指します。
10:45|酸ケ平湿原
分岐点の奥には「酸ケ平湿原(すがだいらしつげん)」。広々していて美しく、眺めているだけで癒されます。
ここから100mほど坂を登っていくと、このコース唯一の避難所「酸ヶ平避難小屋」に到着です。
収容人数は30人ほど。ここでトイレ休憩や水分・栄養補給しつつ、10分ほど休憩しました。
休憩後は、ひたすら頂上に向かって歩きます。足元には大小の石がゴロゴロ。急勾配な場所も多く、足を取られて滑りやすいザレ道が続きます。
ここで私は体力を激しく消耗。そんななかでも70代のガイドさんは平坦な道を歩いてるかのように歩幅もリズムも息も乱れず……。さすがでした。
20分ほど歩くと、山頂が遠くに見えてきました。
あともう少し! この付近は草木がほとんどなく、岩や石のみ。森林限界間近です。
11:40|一切経山山頂&魔女の瞳
ゆっくり休憩を取りながら歩いたので、出発から1時間55分。ついに頂上(標高1948.8m)に到着です!
ここからスタート地点を振り返ると〜
霧でハッキリとは見えませんが、遠くに吾妻小富士の頭が。また、別方向にははるか遠くに猪苗代湖も見えました。
そして一番のお楽しみ! 火山が噴火した際にできた崩落地形(カルデラ)に水が溜まった、五色沼こと「魔女の瞳」は〜
コバルトブルーに輝いていました。霧で周辺の展望は望めませんでしたが、とても神秘的!
風がほとんどなかったので、ここで昼食休憩です。山頂で食べるおにぎりと漬物の美味しいこと。これは登山者だけが味わえる極上のご褒美ですね。
12:20|再び酸ケ平湿原の分岐点へ
登頂の余韻に浸り終わったら、今度は酸ケ平湿原の分岐点まで、ひたすら元来た急勾配で足場の悪い道を戻ります。とにかく滑る〜、杖が欲しい〜。登頂の喜びが遠ざかるごとに増す下山の疲労感は、忍耐の時間でしたが不思議と快感でもありました。
転ばず下りることに全集中で景色を眺める余裕がなかったのですが、しばらくしてふと顔を上げると〜
次の目指す場所、鎌沼が! なんて穏やかな景色でしょう。自然からエネルギーをもらいつつ、分岐点まで無事に戻り、酸ケ平湿原の整備された木道を歩きます。そして到着したのは〜
13:20|鎌沼
鎌のような形の「鎌沼(かまぬま)」。さっきまでの石や岩の荒々しさとは一転、高原リゾートを思わせるおだやかな景色が広がります。
沼の周りをぐるっと回るように、細い木道を進みます。
13:35|姥ヶ原
鎌沼の南にある姥ヶ原(うばがはら)は、厳しい気象条件に対応したさまざまな高山植物を観察できる宝庫です。
高山植物をもっと観察できたらよかったのですが、個人的にここが疲労のピークで余裕なし。その後、前方に浄土平が見えてきて〜
「あと少しだ〜」と自分を鼓舞しながらも、あと少しが長い! そして大きな段差が多く足腰に響く〜。とにかく前だけを見て、一歩一歩前進しました。
14:25|到着とソフトクリーム
出発から4時間40分。無事に戻ってきました!
途中弱音を吐いていましたが、下山を終えた爽快感と安堵感は、何ものにも代えがたい喜びです。
最後は、浄土平レストハウスで自分にご褒美。
“福島県産のフルーツソースかけ放題”というフレーズに吸い寄せられ、売店でソフトクリームを購入しました。季節により常時5種類程度のソースやパウダーがあるそうです、何度も味変して楽しみました。
登山を終えて
今回私は家族(小4息子、主人)と共に登りましたが、家族の良い思い出のひとつとなりました!
下山後は「どこが辛かった?」「何が一番感動した?」など会話は絶えず。直後は疲れて「もう2年は登りたくない」と言っていた息子も、2日後には「10か月後くらいには……」と前言撤回。疲労感よりも山頂のおにぎりの感動が勝ったようです。
私自身も、下山後2日間は激しい筋肉痛に襲われロボットのような動きをしていましたが、回復した今は、達成感の先にある最高の景色や感動を再び味わうべく、紅葉が綺麗な時期にまた行きたいなと計画中です。
私のように初心者の方は、自然公園財団の浄土平支部で随時トレッキングイベントなどを開催しているので、そちらに参加するのもおすすめです。
ぜひ、足を運んでみてくださいね!