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「エール御膳」味処大番 × 森禎行さん
エールプロジェクト事例 #2
フリーランスと事業者を結びつける福島市「ピンチはチャンスプロジェクト(エールプロジェクト)」、今回ご紹介するのは福島市のうなぎ割烹「味処 大番」の特別メニュー「エール御膳」です。サポートしたのはヤフー株式会社の森禎行(もり・さだゆき)さん。ZOOMとチャットツールを駆使しながらの遠隔のやりとりで、食材はもちろん器のチョイスまで朝ドラ「エール」にちなんだ楽しいメニューができあがりました。運営会社「信夫木材通商株式会社」専務の今野陽介(こんの・ようすけ)さんと森さんのZOOM会議中にお伺いし、お話を伺いました。
新商品開発のきっかけに
— 本日はよろしくお願いします。こちらが大番さんの本店(御山本店)ということですが、他にお店はいくつあるのですか。
今野:うなぎ割烹の「味処 大番」は4店舗、そのほかにラーメン店が1店舗あります。弊社は飲食部門のほかに不動産部門もあります。私は三代目で、都内の不動産会社に勤めたあと2007年に福島に戻ってきました。
— 「大番」さんというと、地元ではお祝い事や法事などによく使われる店というイメージがあります。
今野:はい、おかげさまで慶弔の会食などによく使っていただいております。家族がそろった時に来ていただける「家族の思い出に残る店」を目指しています。
— 今回のプロジェクトはどうやって知ったのですか。
今野:観光コンベンション協会さんが出している「エール通信」(福島市の事業者向けにメールで送る情報紙)での募集を見てすぐに応募しました。ずっとオリジナルのお土産品やお引物用の商品の開発を考えていたので、これはいいきっかけになりそうだと。また「エール御膳」はすでに販売していましたが、もっと工夫が要る気がしていて、バージョンアップもしたいと考えていたところでした。
— 森さんが今回プロジェクトに応募されたのはなぜですか。
森:これまで、弊社の通販サイト「エールマーケット」や、東京駅で売る福島素材のお弁当の商品開発などの事業で福島に関わってきた経緯があり、今回も何かお役に立てることがあればと手を上げました。大番さんとマッチングいただいて、自分のこれまでの商品開発の知見が活かせそうだと思いました。
福島と豊橋の魅力がつまった「エール御膳」
— 打ち合わせはZOOM会議で進行していきましたが、問題はありませんでしたか。
今野:最初はやったことがなかったので少し不安でしたが、すぐに慣れました。森さんに細かくヒアリングをしていただき、自分が求めているものがはっきりして、どんどん具体的になっていきました。
森:お店のうなぎが古関裕而さんの奥様の金子さんの故郷である愛知県産を使っていると伺って、それなら愛知(豊橋)と福島の食材を掛け合わせたらどうかとご提案しました。
— 八丁味噌や豊橋のちくわ、そして福島のエゴマ豚や川俣シャモなど、ふんだんに食材を使っていますね。
森:特に川俣はドラマの舞台ですし、ネット販売で川俣シャモは扱っていたのでぜひ入れたかった食材でした。実はコスト面で最初は難しかったのですが、いろいろ探ったところ最終的に入れられるようになり「川俣シャモサラダ」がメニューに加わりました。
— ほかに工夫されたところはありますか。
森:薄皮饅頭ですね。もともとのエール御膳では、デザートは大番さんの定番のものでしたが、印象をもっとエール寄りにしたいと思っていたところ、ドラマで薄皮饅頭の印象的なシーンがあったので入れましょうということになりました。
今野:でも1個はさすがに多いので、最初は半分に切ってそのまま出すつもりでいましたが、それではあまり工夫がないなと考えていたとき、製造元「柏屋」の本名善兵衛社長から、天ぷらに唐辛子醤油をつけて食べるというアイデアをいただきまして、早速取り入れました。
森:饅頭の天ぷらは最初こってりしすぎるのではと思いましたが、唐辛子醤油をつけるとさっぱりしますね。福島市ではあまり見かけませんが、会津の名物料理ですしね。
今野:そうですね。おかげさまで好評です。6月12日が発売日でしたが、本名社長が初日に来てくれました。応援していただけてありがたいです。
商品開発の大事さを改めて実感
— 地元紙の福島民報と福島民友新聞にも取り上げられましたね。反響はいかがでしたか。
今野:おかげさまでたくさんの方にご来店いただきました。「ドラマゆかりのものが入っていろんな味が楽しめて、見ても食べても楽しい」「饅頭の醤油が意外でしたがおいしい」など、皆さん満足していただけてほっとしています。
森:こちら(御山本店)のほかに、古関裕而記念館近くの「竹林亭」でも食べられるということで、記念館を見た後のランチにはぴったりですよね。
今野:はい、古関裕而記念館は竹林亭から歩いて5分の距離なので、訪問された際にはぜひご利用いただけたらと思います。
— 最後に、全体を通しての感想をお願いします。
今野:福島と豊橋を結ぶおもてなしの膳ができて本当によかったです。今回はお土産品の開発のほうもお願いしていますが、このプロジェクトで商品開発の大切さを改めて感じました。エールが終わったあともいい商品を出し続けていこうと思います。ありがとうございます。
森:食べ物は人にその土地の魅力を伝える力があります。多くの味が楽しめるエール御膳は福島を伝えるのにぴったりだと思います。多くの方に知ってもらって、福島に来てもらうきっかけになっていただければと思います。
— 今野さん、森さん、今日はどうもありがとうございました。
味処 大番:https://ooban.com/
ヤフー「エールマーケット:https://yellmarket.yahoo.co.jp/」
【取材/ 文】熊坂仁美