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【特集:ふくしまを盛り上げる人たち】Vol.2 一般社団法人tenten 藤本菜月さん
転入女性の視点を地域づくりに活かしたい!
福島市を盛り上げる人インタビュー Vol.2。
今回登場するのは、福島県への転入女性を支援し、転入女性の目線を地域づくりに活かす事業を行っている 一般社団法人tenten 代表理事の藤本菜月(ふじもと なつき)さんです。
藤本さんは、転入女性のサポートをする傍ら、福島特産品のギフトショップもオープン! さらに転入女性の目線を活かした観光コンテンツの開発にも関わりはじめました。
しかし藤本さん自身、福島に転入してきた当初はふさぎがちな日々を送っていたそうです。それをどのように乗り越え、tentenが創られたのか、じっくりお聞きしました。
1980年 石川県小松市出身。名古屋大学卒業後、農林水産省に勤務
2007年 結婚を機に福島県へ転入
2018年 任意団体として活動をはじめ、2020年に一般社団法人tenten設立
目次
霞が関で働くバリキャリ女子
―省庁にお勤めだったのですね! 世間一般的にはちょっとお堅いイメージがあるのですが
そのイメージは合ってますね~。霞が関の農林水産省で、4年9ヵ月ほど働いていました。
―具体的にはどんなお仕事をされていたのですか
霞が関の省庁の中でデスクワークをしていましたが、農業研修で北海道へ行ったり、国際協力事業でタイやラオスに行ったりもしていました。そこで「現場の人ってすごいな」と感銘を受けていました。
南会津町に転入、引きこもりの辛い日々
―2007年に、福島県のどちらに転入されたのでしょうか
南会津町です。てっきり私は福島市だと思っていて、いろいろ駅ビルもあるし大丈夫だなと思ったんですけど、蓋を開けてみたら、最初の冬とか一晩で雪が1mぐらい 積もっちゃって……。
―それは、藤本さんにとっては問題なかったですか?
問題ありありでした(苦笑)。冬は大変でしたね。運転もちょっと怖くてできなかったですね、というかペーパードライバーだったので。
けど一番辛かったのは、友達が誰一人いなかったっていうこと。
―人口も少ないですし、どこに行けば誰に会えるのかちょっと想像つかないですよね
誰も外を歩いてないし、どこに行けば同じぐらいの年齢の人と知り合えるのかなとかも全然わからなくて……。本当に夫としか話さないっていう日々がずっと続いて、結構辛かったです。
二地域居住者との出会いで生活が好転
―震災前だとSNSもまだ活発ではなかったですよね
他の人はどうしてるんだろうと思って、いろんな人のブログとかを読んでいました。
そのなかで、南会津の古民家で二地域居住をされているご夫婦のブログを見つけたんです。南会津で素敵に生活されている様子をブログに綴ってあったんですよね。
その方に連絡を取って、会いに行きました! そこからいろんな人との出会いがあって、私の南会津生活が一気に楽しくなったんです。
―地元の方が最初にどんな風に声をかけてくれたのか覚えてますか?
南会津が大好きな人たちなので「よく来たね」って言ってくれて、インターネットに載っていないような美味しい情報を教えてくれたんです。
―楽しそうなお写真! どんなことが行われていたのですか?
古民家で、定期的に地元の方々と交流したり、飲み会をしたり。同じくらいの年齢の人にも出会えました。釣ってきたワカサギ食べたり、おいしいお酒飲んだり、すっごい楽しかった!
ちなみに、南会津町といえば “日本三大祇園祭” のひとつ「会津田島祇園祭」が有名ですが、
今もポスターに書かれている「会津田島祇園祭」の筆文字は、藤本さんが書いたもの
―これは、めちゃくちゃ嬉しいですよね!
だから今でも、南会津は私にとってすごく特別な場所だし、大好きなところなんです。
その後、喜多方市・須賀川市への転入を経て、2013年、福島市に転入します
「私にもできることあるんじゃない⁈」
―福島市でパートをはじめたそうですが、どんなお仕事だったのですか?
一般社団法人 Bridge for Fukushimaという復興を担う人材を育てる団体で、福島県内の農業高校と組んで経営やマーケティングを学んで実際に商品開発をするというプログラムの運営や調整などを行っていました。
―その高校生の活動に携わったのが、teneten設立のきっかけにつながったそうですね
高校生ってフットワーク軽く動くんですよ。「こういうことやりたい、じゃあ誰々さんの話を聞きに行ってみよう」って。私はそれまで、デスクでパソコンに向かってやっているのが 仕事だと思っていたので、純粋にすごい行動力だなと思ったんですよ。
それで、私にもなにかできることがあるんじゃないかなと思い始めたときに、南会津でとても孤独で苦しかったのと、転勤族で仕事ができなかったという状況を思い出したんです。他にもこういう人はいるはずで、なにか活動ができないかなと考えたのが、tentenのはじまりです。2018年に任意団体として設立しました。
福島県への転入女性を支援する任意団体「tenten」設立
―「tenten」かわいい名前。どんな意味が込められてるんでしょうか。
「転(ten)入」、「転(ten)勤」。新しい地域に対して思っていたネガティブな感情が、ちょっとしたきっかけでポジティブに「転(ten)換」できるという想い。「災い『転(ten)』じて福となす」という意味も込められています。
―最初に始めた活動は?
転入女性のしゃべり場「tenten café」です。
その後、地域の人とのつながりも作りたいなと考え、街歩きをしながらその街を知るというツアー「まちとつながる旅」も始めました。
観光ツアーではなく、商店街を街歩きするんです。福島市も県庁通り商店街などにステキな商店がいっぱいあるじゃないですか。
―そうそう、でも一人で入るのはなかなか勇気がいりますよね
本当に素敵な人たちがお店をやっているので、私たちがまず窓口になって、そのお店にみんなを一緒に連れて行く。お店の中に入ってもらってお店の人と話してもらえば、次はひとりで行けるよねっていうような感じで。
その後、活動を県内各地に広げ、2020年に一般社団法人tentenへ
福島のギフトを集めたセレクトショップ「ent」誕生
―さらに、2021年にはショップもオープン!どんなお店ですか。
福島県の素敵なものを贈りたいときなどに使ってもらえるような、福島県の新しいギフトショップというコンセプトで、デザイン性やストーリー性に優れた食べ物と工芸品を集めたお店「ent(エント)」です。
内祝やギフトなどを贈る機会が結構あって、自分で集めて自分でラッピングしてこだわりのギフトを作って贈っていたんですけど、それらを一気にやれるお店があったらいいなぁと思っていたんです。
entでは、福島の特産品を使用したドリンクも提供しています。また「移住情報ステーション」の役割も担っていますので、気軽にお立ち寄りください。
転入女性の「よそ者目線」の価値を見える化したい
―これから力を入れていきたいことは?
コミュニティもだんだん大きくなってきたので、転入女性の視点を生かしたモニター事業にも力を入れていきたいと考えています。
住まいもこれまでやってきたことも、本当にいろんな方がいますので、その人たちの経験や目線は、福島県にとってはものすごく価値があるのではないかなと感じています。
転入女性たちの経験という価値を、もっと見える化したいですね。転勤で仕事もしていないと、私に価値なんかないなどと思いがちな方もいると思うんですけど、いやいや、今まで転勤してきて苦労してきて、いろんなところに住んだことがあるというだけでも価値があると思っているんです。
それをもっと形にして、福島県のまちづくりにつなげいていきたいと思っています。
―ありがとうございました。今後、福島市の観光コンテンツにも、tentenの皆さんの声が反映されるのを楽しみにしています!
※この記事は、ライターの鈴木がファシリテーターを務めた福島県の「ふくしまと関わるルーム」LIVE対談から一部抜粋・編集したものです。
tentenの携わった、ふるさと納税返礼品の「ワインと温泉を楽しむランチプラン」のモニターツアーの様子はこちら。
上質なローカルワイン体験「温泉×ワインの一日」が返礼品に登場。
店舗情報
店舗名 | ent(エント) |
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住所 |
福島県福島市大町2-18 石屋小路ビル1F |
TEL | |
営業時間 |
10:00~16:30 |
定休日 |
毎週月曜、第1・3日曜日 |
駐車場 | なし(近隣のコインパーキングをご利用ください) |
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