掲載日 /
いい電沿線! 田舎の良さが詰まった甘食専門店「結」をご紹介
福島の魅力がギュッと凝縮! 県内外からのファンが多いカフェが大切にしているもの
福島のローカル電車「いい電」こと福島交通飯坂線。飯坂温泉までの足であるとともに、通勤・通学など日常の移動手段として、市民や観光客から大切にされている電車です。
今回は、そんな沿線にお店を構え、地元産品の素材を活かした美味しいスイーツの提供や居心地の良い空間を追求しているカフェ、甘食・茶屋「結(ゆわえ)」をご紹介します!
福島市内はもちろん、県内外のファンやリピーターが多い結。その秘密は、福島の魅力をギュッと凝縮したお店のこだわりにありました。
結のオーナーの佐々木隆行さんは、長年観光のお仕事もされていて、福島の魅力と現状の課題についてトライアンドエラーを繰り返してきた方でもあります。
そんな佐々木さんが、なぜ甘食屋専門店に辿り着いたのか。福島の魅力をどう捉えどう伝えているのかを伺ってきました!
いい電沿線にお店を構えるオーナー視点の、いい電の魅力も聞いちゃいましたよ。
日本初の甘食専門店「結」
飯坂線・福島駅から2駅目。美術館図書館前駅から歩いて3〜4分程の距離にあるのが、今回ご紹介する結です。
実はここ、日本で初めての甘食専門店! 添加物を使わずに重曹だけで膨らます昔ながらの製法で、店内で一つひとつ手作りしています。店外にまで漂う甘くて芳ばしい香り、しっかりとした食感、そしてどこか懐かしい素朴な味が評判で、県内外問わずファンが多くいらっしゃいます。
甘食の他にも、ホットケーキやぜんざい、ソフトクリーム等々のスイーツ、そしてフレッシュジュースやドリンクも充実しているのですが、なんとその全てが手作り&無添加! 食材は地元の農家さんたちのものを中心に仕入れ、調味料も厳選したものを使用しています。
そんなこだわりのお店を構えるのは、株式会社デミアンの代表取締役 佐々木隆行(ささき たかゆき)さんです。
福島の魅力に通じる「甘食」のやさしさ
―どうやって甘食に辿り着いたのですか?
もともと実家がパン屋で、甘食は創業当時からあった商品でした。年配の方にとっては懐かしく、逆に若い方には見たことも聞いたこともない方が多くなっている、絶滅危惧種のお菓子です。
結をオープンする以前から関東の百貨店の物産展で甘食の実演販売をしていたんです。オーブンを持っていき、その場で生地から仕込んで焼き立てを販売しているんですが、そうするとお客さんがうんと喜んでくれるんです。「美味しい」と言っていただけるのはもちろん「ホッとする」「懐かしい」「安心する」「福島にそんなお店があるんだ! 面白いね!」と。甘食というお菓子が持つ懐かしさや素朴さが引き寄せるのか、売り場で嬉しい言葉とともに、いろいろなお話をされていくお客様が多くいらっしゃいました。
デパ地下って、綺麗なお菓子や有名店の品がズラリと並んでいますが、そんな中でも甘食は、まったく色褪ず、逆に目立つ存在なんです。
そんな経験を重ねていく中で、甘食のベースにあるやさしさが、福島の魅力を表現するのにすごく合っているなと感じ、甘食専門店に辿り着きました。
―甘食を通して、どう福島の良さを表現しているのですか?
私は長年観光の仕事に携わっているのですが、福島の魅力をどう表現しどう伝えていくか……、この部分に課題を感じています。
都会の方々から見たら福島って、やっぱり田舎ですよね。そして長年都会に住んでいる方には、田舎へ憧れも抱いている人が多いと感じています。甘食の素朴さや優しさって、田舎を象徴するのにちょうどいいと思っていて。
住んでいると見えなくなりがちですが、福島にはいいところがいっぱいあります。なんといっても自然が豊か! 温泉だって仕事終わりにふらっと寄れる場所がたくさんあり、少し追加料金を出せば絶景の中の貸切風呂も利用できる。フルーツはさくらんぼ、桃、なし、りんご……と1年中採れたて新鮮なものが味わえる。都会の人からしたら、こんな贅沢ありません。
結では、そんな福島の食材をたっぷり使用し、できるだけシンプルに素材の良さを活かしたメニューをお出ししています。またお土産コーナーには、福島の老舗茶屋の松北園や鈴木養蜂場の蜂蜜、ささき牧場の牛乳など、想いとご縁でつながった方々の商品を揃えています。
結は、生産者とお客様を結え、福島の良さを発信するお店でありたいと思っています。
―手作りや無添加にこだわっている理由は?
食の大切さなどを伝えるのも田舎の良さの一つかなという想いはあります。
食べ物は単に栄養というより、生命力(命)をいただくものだと私は思っているので、安心できるもの、なるべく自然に近いものを提供したいんです。ですので食材はもちろん、砂糖やバター、生クリームなどの油脂類も安心安全なものにこだわっています。
また現代は規格品が当たり前になりすぎてしまっていて、手作りならではの良さが考えられなくなっていっているように感じます。
例えば、甘食は重曹だけで膨らましているので、気温や湿度、材料の温度など、条件によって膨らみが変わってきます。もちろん作り手として毎日同じものを提供できるよう努めますが、同じように作っても同じものはできません。同じものができたら、逆におかしいんです。野菜や果物などだって同じですよね。
どうしても現代は、自然から遠ざかった生活になりがち。福島に来て、そういう本来あった姿を身近に感じてほしいですね。
いい電との共通点! 喫茶スペースで福島を味わう
2階には “四季を感じながら、ホッとくつろいでいってほしい” という想いがこもった喫茶スペースがあり、木を基調とした和モダンで落ち着く空間が広がっています。寒い時期は薪ストーブも焚かれていて、贅沢な時間が流れます。
窓の外にはケヤキ並木が見え、四季折々の美味しい姿を眺めることができますし、いい電がよく見える特等席でもあります。
任意団体で いい電の普及活動もしている佐々木さんは「甘食といい電って、括りが似ていると思うんです」とおっしゃいます。
―甘食といい電にどんな共通点を感じますか?
甘食といい電には、昔ながらのノスタルジーを感じます。歴史もあって地元にも馴染んでいて。なんか、ほっこりするんですよね。
いい電は来年100周年を迎えるのですが
- 開通当時から駅舎がほぼ変わっていない
- 2両しかない短さが醸し出す可愛さ
- 温泉地直通
- 新幹線の停車駅から乗換可能なアクセスの良さ
- ローカル線にしては本数が多い
- 貸切もできる
- 住宅地の間をすり抜けるように走っていくカーブ
- 住宅地、田園風景、果樹園と移り変わる車窓からの眺め
- 平野駅界隈では自分の家専用の「マイ踏切」がある珍しさ
など、魅力をたくさん感じています。
特別につくる、カッコよくつくるとかではなく、地元にある(根付いている)ものを掘り起こし、個性を確立させて、伝えていく。福島の魅力を伝えていくには、いい電も甘食も、とっても良い象徴だと感じています。
改めて福島の良さを見直すヒントに
「福島は良いところがいっぱいある。内側にいる自分たちがもっと魅力を把握し、伝える技術を磨いていきたい」と話す佐々木さんは、今でも甘食の実演販売で全国を飛び回り、甘食を通して福島の魅力発信をコツコツ積み重ねていらっしゃいます。
佐々木さんが実際に足を運んで各地の人々とコミュニケーションを図ることで掴んできた感覚・経験・実績は、観光でいらっしゃる方はもちろん、福島市民としても今一度当たり前を見直し、恵まれた環境にいることに気付く上での多くのヒントになるのではないでしょうか。
ちなみに結メニューの私の一番のおすすめは、まだ寒い時期に食べる、手作り無添加シロップがかかった「かき氷」!
薪ストーブのゆらめく炎を眺め、薪のはぜる音に癒されながらポカポカ温かい部屋で食べるフワフワ果肉たっぷりの極上かき氷は、これ以上ない幸せ。とっても贅沢感がありますよ! ぜひ、お出かけしてみてくださいね。
甘食・茶屋 結(ゆわえ)店舗情報
住所 |
福島県福島市森合字台7-1
|
---|---|
TEL | 024-572-3160 |
営業時間 | 10:30~18:00(L.O. 17:30) |
定休日 | 不定休 |
駐車場 | あり(8台) ※福島県立図書館・美術館の近く。マップはこちら |
HP /SNS | 公式ホームページ / 公式Instagram |