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福島市の共同浴場で「湯道」を嗜む
福島市に根付く共同浴場の文化を楽しんで
「湯道」という言葉をご存じでしょうか。
湯道とは、映画「おくりびと」の脚本などを手がけた放送作家の小山薫堂さんが2015年に提唱し、広めている新しい考え方です。
日本人にとっての入浴という行為は、世界でも類稀なる生活文化であり、その精神と様式を突き詰めてゆくことで一つの「道」になるという想いに至りました。
私たちはそれを「湯道」と名付け、「感謝の念を抱く」「慮る心を培う」「自己を磨く」という三つの精神を核としながら、日本の入浴文化を世界に発信します。
湯道 公式サイトより引用
日本の茶道や華道、書道と同様に、湯の道を極める「湯道」。
小山さんが日本全国の温泉を渡り歩いて記すWebサイト「湯道百選」では、飯坂温泉の共同浴場のひとつ「鯖湖湯」も紹介されているんですよ。
<福島・飯坂温泉>鯖湖湯
湯は、心の垢も洗い流す。(湯道百選)
https://yu-do100.jp/hotsprings/07a/
その小山さんが企画・脚本を担当した最新映画「湯道」が2月23日に公開されます。
この映画は「湯道」をテーマに、とある銭湯を舞台に描かれるヒューマンドラマです。
そこで、映画の公開を記念して、福島市でのお湯の嗜み方をご紹介していきます。
映画の予告編はこちら。
福島市の共同浴場の文化に触れてみよう
実は福島市には銭湯は数えるほどしかありません。というのも、福島市には高湯・土湯・飯坂の3温泉地があり、温泉や共同浴場の文化が根付いているため。
福島市の3温泉の紹介はこちら
▶自分に合った温泉はどれ?福島市の三名湯「高湯・土湯・飯坂」の特徴を詳しくご紹介!
https://www.f-kankou.jp/pickup/12513
福島市内の3温泉地には合わせて11もの共同浴場があり、銭湯のように気軽に利用することができます。しかも全て源泉かけ流しの温泉で、泉質や効能も違うというのだからなんとも贅沢ですよね!
福島市で湯道を嗜むには、温泉の共同浴場が最適です。
湯道レベル別・お勧めの共同浴場
3温泉地の共同浴場は、高湯温泉に1つ、土湯温泉に1つ、飯坂温泉に9つあります。
「たくさんありすぎてどれに入ったらよいか分からない!」という方のために、初心者・中級者・上級者向けに分けてご紹介していきますね。
【初心者向け】
- 高湯温泉 あったか湯 2003年オープン
- 土湯温泉 中之湯 2018年リニューアル
- 飯坂温泉 波来湯(はこゆ) 2011年リニューアル
定番の福島市3温泉。2000年以降にそれぞれオープン・リニューアルされた施設は、アメニティーや飲み物販売、休憩所、貸切温泉など設備が充実しています。バリアフリーにも対応しており、気軽に手ぶらで行ける施設です。
「波来湯」は、熱い湯で知られる飯坂温泉の中でも湯温が比較的低めに設定されているので、安心して入浴できます。
【中級者向け】
仙気の湯と導専の湯は、熱い湯とぬるい湯の2槽に分かれているので、飯坂温泉名物の熱ーいお湯に挑戦してみたい方におすすめ。
下の写真中央・仙気の湯は、左の熱い湯は源泉かけ流しで約47℃、右側は加水でぬるくしてあり42℃にしてあります。浴槽の真ん中には、福島市観光PRキャラクターの「ももりん」がいて、耳に手桶がかけられているのがなんとも微笑ましいです。
鯖湖湯の湯温は46~47℃と熱めですが、飯坂温泉に来たからにはぜひ挑戦してみてほしい、風情ある木造建築の共同浴場です。
【上級者向け】
地元民が足しげく通う、飯坂温泉の共同浴場。浴槽温度は48℃以上とかなり熱めで「熱さ番付」まであるほどです。
飯坂温泉では湯めぐりマップを参考に、街歩きも楽しんでくださいね。
番外編
共同浴場ではないけれど、ご紹介したい施設。こんなところにもあったの?!という場所にあります。
もにわの湯は、天然温泉の市営温泉施設。施設は初級編と同様に充実していますが、飯坂温泉駅からバスで約36分と、ややアクセスしづらい場所にあります。
ダム湖やキャンプ場、川遊びができる公園などアクティビティが充実している茂庭エリアを訪れた際は「もにわの湯」の利用がおすすめです。
注)番外編で紹介した「もにわの湯」は、住宅街からは離れたダム湖(つまり市民の水源)近くに開発された入浴施設という事で、共同浴場のカウントからは除外しています。
【手ぶらでもOK】共同浴場のマナーや入り方をご紹介
共同浴場は、地元の方の「外風呂」として利用されてきた歴史があり、観光客には少し入りづらいと感じる方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、共同浴場の入り方やマナーをご紹介していきます。
共同浴場には備え付けの石けんやシャンプー、タオル類はありませんので、各自ご持参ください。
各施設内でタオルセットやシャンプー、コンディショナー、石けん、T字カミソリなどを販売していますので、手ぶらで行って現地調達もできますよ。
【共同浴場の入り方】
- 入浴券を買おう
券売機で入浴券を買い、受付や番台さんに渡します。予約は不要。お得な回数券もあります。 - 下足箱に靴を入れる
※施設によって1と2が入れ替わります。 - 脱衣所
コインロッカーや鍵付きの貴重品ロッカーに荷物を預けます。 - 体を洗う~かけ湯
入浴前に体を洗います。シャワーがない施設では、あらかじめ湯船やカランから洗面器にお湯をためるなどして体を洗うようになります。
湯船に入る前にはしっかりと「かけ湯」をしてから入りましょう。 - 入浴
タオルは浴槽に入れないようにし、混雑しているときは譲り合いましょう。
飯坂温泉の共同浴場は源泉かけ流しのため、熱いのが特徴。お湯が熱すぎるときには、周りの方にひと声かけて水を入れてもOKです。 - 入浴後
体をよく拭いてから脱衣所に戻りましょう。 - 着替え
忘れ物がないようチェックしましょう。ロッカーから返却されるお金も忘れずに!
※ロッカーには、コイン投入式以外のものもあります(無料で利用できます)
【共同浴場入浴にあたってのお知らせとお願い】
- 入浴の前後には水分補給を行いましょう。
- 外気温との差によるヒートショックには十分気をつけて入浴しましょう(特に冬場)。
- 場内での喫煙、髪染め、撮影は禁止されています。
- 3温泉地の共同浴場では、タトゥーや刺青をしていることだけを理由とした利用制限はしていません。周囲の目線が気になる場合は、一部の施設で貸切風呂の利用もできます。
- 感染症対策のため、休憩所の利用中止や滞在時間を設けている施設もあります。詳しくは公式サイトをご覧ください。
素顔の温泉街を楽しんで!
古くから温泉街に住む人々に親しまれてきた共同浴場。湯の道を極める「湯道」のように、市内でさまざまなお湯を巡る楽しみ方ができるのも良いところです。
福島市にお越しの際は、暮らしに根付いた共同浴場の文化や、地元の方とのふれあいもぜひ楽しんでくださいね。