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あなたは「やわ派」? それとも「かた派」? 家系図でたどる福島の桃
桃の家系図の中心は、やっぱり「あかつき」
夏本番、福島市は桃シーズン真っ只中!
桃の生産量は山梨県に次いで福島県が全国2位。また総務省の家計調査によると、1世帯あたりの桃の支出額は福島市が6年連続でダントツの1位。このように、桃といえば福島。福島といえば桃なのです。
桃が出回るこの時期になると、福島でよく話題になるのが「柔らかい桃と硬い桃、どっちが好き?」という、桃の「やわ派」vs「かた派」論争。
「うちの娘は、硬い桃じゃないと食べないのよ」
「あら、うちの息子もそう。私はちょっと柔らかくなった方が好きなんだけどね」
福島ではこんな会話をよく耳にします。
一般的に、桃は柔らかく果汁が溢れ、皮もツルっと向けるくらい熟していますよね。「硬い桃」と聞くと、疑問に思われる方も多いかもしれません。
桃の産地である福島の桃には、他とはちょっと違う特徴があります。それは「硬い桃」が中心であること。
福島の桃はパリパリとした硬い食感が特徴なのです。
「硬い桃」代表は、福島が誇る「あかつき」
硬い桃の代表格が「あかつき」。
「あかつき」は、福島県の果樹研究所が開発した福島県を代表する品種で、福島で生産される桃の約半数を占めます。
果皮の色は全体に桃色に色付き、果肉は白っぽいクリーム色でうっすらと紅が混じった感じ。肉質は緻密で、食感もしっかりと硬く日持ちが良いのもあかつきの特長です。でも硬すぎるということはなく、適度な存在感と染み出す甘い果汁は、桃ならではの美味しさを感じさせてくれます。糖度は12~14度と高く、桃の主要品種の中ではトップクラスの品質。
さらに、あかつきを親として、さまざまな桃の品種が生まれています。
Webデザイナーのわたなべまこさんが作成した「桃の家系図」でも、その中心が「あかつき」です。
桃好きの皆様、お待たせしました。約3年ぶりに #桃の家系図 2021が完成したので公開しまーす\(^o^)/
いつも通り、クレジット消さなければご自由にお使い頂けます。印刷して壁に貼ってもよし、スマホに落として持ち歩いてもよし、お好きにお使い下さいませ🍑#桃の断面図 #わたなべまこ pic.twitter.com/9dJ2XIVbpI— わたなべ まこ@だんめん図鑑 (@danmenzukan) August 11, 2021
実は「あかつき」が、まだ『れ-13』と呼ばれていた試験栽培中、ある一つの欠点が克服できず栽培を断念する県が続出し、調査研究が打ち切りに……。そのような状況の中、福島県だけがあきらめずに栽培を続け、見事その欠点を克服。今では福島の桃を代表する全国区の品種となりました。
「あかつき」栽培に賭けた福島の開発担当者の物語、以下の記事でぜひご覧ください。
あなたはどちらがお好み? 「やわ派」vs「かた派」
柔らかい桃と硬い桃、みなさんはどちらがお好みでしょうか?
私はどちらかというと少し柔らかい方の桃が好きな「やわ派」です。とろけるような食感と、口いっぱいにひろがる甘さが魅力の柔らかい桃。みずみずしく、甘みと香りが豊富な「はつひめ」や、酸味が少なく自然な甘さが特長の「日川白鳳」などの品種がおすすめです。
一方、福島に多い「かた派」。硬い桃はパリッとした歯触りが小気味いいですし、甘さも爽やかで、硬い桃ならではの味わいがあります。「あかつき」のほか、大玉で甘みが強い「まどか」や、しっかりとした肉質で酸味の少ない「川中島白桃」などが硬めの桃の代表品種です。
こうした硬めの桃はお料理にも向いています。桃とモッツアレラチーズで作る「桃のカプレーゼ」はとっても美味。
もちろん、柔らかくジューシーな桃も楽しめますし、鮮度の良い桃は、皮ごと食べても美味しいですよ。さまざまな楽しみ方ができるのも、桃の産地・福島ならではですね!
かた派にオススメの品種の一つ「まどか」ですが、先日(2023年8月3日)行われた「第2回 全国桃選手権」(日本野菜ソムリエ協会主催)で、福島県福島市の片平聡さんが出品した「まどか」が最高金賞を受賞しました! 福島県産の桃の受賞は初めて。
野菜ソムリエが選んだ今年の美味しい「桃」日本一ということで、福島県民としても大変嬉しい受賞でした。
最高金賞は福島県「まどか」第2回全国桃選手権 日本野菜ソムリエ協会
全国桃選手権 福島市の片平さん生産「まどか」が最高金賞 県産モモの受賞は初
桃狩りで「硬い桃」を楽しもう!
福島市郊外を車で走ると、いたるところに果樹園があります。特に夏の季節は、ピンク色の丸い実を付けた桃林は遠くからでもすぐにわかります。その姿の可愛らしいこと。思わず車を停めて、しばし眺めていたいほどです。
福島市内には、桃狩りを楽しめる果樹園もたくさんあります。硬い桃を味わいたい方には桃狩りがおすすめです。採れたての桃の硬い食感をぜひ体験してみてください。
「やわ派」の方のために、追熟させた収穫済みの桃も用意されている「紺野果樹園」での桃狩り体験の様子は、こちらの記事をご覧ください。
かた派・やわ派で見る桃の収穫時期
福島の桃シーズンは、例年7月上旬から10月中旬頃まで。約4か月に渡って多くの品種が次々に旬を迎え、楽しめます。
主な桃の品種の収穫順は
[6月下旬] はつひめ(やわ派)・日川白鳳(やわ派)→ [7月中旬] あかつき(かた派)→ [8月初旬] まどか(かた派)→ [8月上旬] 川中島白桃(かた派)→ [8月下旬] かぐや(かた派)→ [9月初旬] さくら白桃(かた派)
となります。
柔らかい桃も硬い桃も、どちらも間違いなく美味しい福島の桃。愛すべき「やわ派」vs「かた派」論争は今後も続きそうですね!
【元記事:たけうちあけみ】