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【浄土平】築88年昭和レトロな「吾妻小舎」が受入れ再開、カフェ営業も
観光客やファミリー層の利用も大歓迎!
福島市街地から車で約1時間ほどで行ける浄土平駐車場。そこから旧土湯ゲート方面に約1kmの兎平(うさぎだいら)駐車場の近くには、「吾妻小舎(あづまごや)」があります。
登山家の方々には名の知れた施設ですが、一般の方は「全く知らない」という方も多いのではないでしょうか。
2021年に前管理人が引退されたことから吾妻小舎は一時休業状態になっていましたが、2022年6月に新しく管理人が決まり、急ピッチで改修作業をすすめ、7月15日に晴れてオープンを迎えました。
登山をしない観光客やファミリー層の利用も大歓迎とのこと。吾妻小舎とはどんな施設なのか、新管理人のお二人にお話を伺いました。
味わい深い昭和初期の山小屋
標高1,576mの車で行ける山小屋、それが「吾妻小舎」です。昭和9年(1934年)に建造された2階建ての山小屋が、今なお使用できるのです。
玄関から室内、共同の非水洗トイレ、手洗い場、あらゆる場所に昭和の時代からの「手作り感」が感じられ、山小屋らしいやわらかい照明が雰囲気を高めます。
懐かしくも新しい、そんな印象の施設です。
吾妻小舎は兎平駐車場の向かいの道を車で1分ほど進んだ場所にあり、桶沼への遊歩道散策の途中に立ち寄ることもできます。
新管理人お二人でリスタート!
新管理人の栗田純一さん(左)と金光弦太さん(右)
金光さんは16年前、栗田さんは6年ほど前にそれぞれ東京から福島県へ移住して以来、裏磐梯の北塩原村でゲストハウスやキャンプ場を経営してきました。栗田さんは調理担当で、登山愛好家でもあります。
金光さんと栗田さんの運営コンセプトは、「山小屋の古き良きものは残したい」「不便さも楽しんでほしい」というもの。その一方で、水や電気、ガス、Wifiなどの必要最低限の環境は、2022年度中には整えたいと考えています。
昼間はカフェ、夜は宿泊利用
吾妻小舎は、昼間はカフェ、夜は宿泊利用が可能な山小屋です。
宿泊設備は2パターンあります。
・ツイン個室(ベッド)17,600~円/一室
・共有スペースに宿泊する2階ロフト 5,500円~/一人(8名まで)
「別室」ツインルーム
この吾妻小舎、驚くべきことに山小屋なのにツインルームがあるんです。
こちらがツインルーム。奥の寝室にベッドが2台あります。手前のフローリングの前室にもエキストラベッドや布団を敷くスペースがあります。
一室17,600円~で、3名まで利用が可能。エキストラベッドや布団は自由に利用できます。
一般的な宿泊施設のようにプライベート空間が保たれているので、ご家族、ご友人、カップルなどでも安心して利用できますね。
ちなみに、我が家のような4人家族(大人2人、子ども2人)でも、寝る場所が確保できれば宿泊OKとのことでした。
2階の相部屋ロフト
2階ロフトへはカフェスペース脇の階段を登ります。
2階の相部屋ロフトは畳敷き。各自布団を敷いて寝ます。ロフトからの眺めも昭和の趣きが感じられますね。
階段を登るのが難しい場合など、現地で希望があれば1階ドミトリー(写真奥の畳敷きスペース)の利用もできます。相部屋で就寝時には、布団と布団の間に仕切り板を置くそうです。
食事つきの宿泊もはじまりました。公式サイトの予約ページから、食事なし/ありのオプションが選べます。(宿泊料金に夕・朝2食付きで+2,970円)
ある日のメニュー
夕飯…カレー、なすみそ、たけのこの土佐煮、くだもの
朝食…おでん定食
メニューは基本おまかせ。定番メニューのカレーは、市販のルーに栗田さん厳選のスパイスをブレンドしているそうですよ。
ベジタリアン、ムスリムフレンドリー、ハラール等の対応食は事前にお問い合わせください。
15時チェックイン、9時チェックアウトです。
カフェ/食事スペース
8月から日中はカフェ営業をスタートします。昼間はカフェスペース、それ以外の時間は宿泊の食事会場になります。
浄土平一帯の施設は、「桶沼(おけぬま)」から水道を引いています。水質調査員より「桶沼は非常に良質の軟水で、不思議なことに沼の水位は常に安定している。このような沼は日本でも珍しい」と評価されました。
これまでも、桶沼が水源の水で淹れたコーヒーは、登山客の間で「とても美味しい」と評判でした。
金光さんと栗田さんも、「良質な水が確保できるこの環境で、管理人をやってみたい!」と思えたんだそう。
「昼間のカフェのメニューは、ブラックコーヒー、ラテマキアート、ハーブティー、軽食のカレーなどを準備しています」と栗田さん。ゆくゆくは、ワッフルなどのスイーツメニューも提供したいと考えているそうです。
金光さんは「浄土平レストハウスのニーズは食の提供。私たちはそれとは別に『カフェに立ち寄りたい』『山小屋の雰囲気を味わいたい』『登山後、車に乗る前にコーヒーで一息つきたい』といったニーズを満たしたいですね」と話します。
バーカウンター
カフェスペースのあるフロアから階段を降りると、落ち着いた雰囲気のバーカウンターが。宿泊客やキャンプ場の利用者向けにカフェやアルコールなどのドリンクを販売する予定です。
インフラ関係は整備なかば
吾妻小舎は7月15日にオープンしましたが、実は現在も設備を整えている最中。
新管理人のお二人は電気と通信環境(Wifi)の確保に奔走しています。
特に急がなければならないのは電気の確保。
現在、電気は日中に発電機で給電し、夜9時には発電機を止めて消灯しています。夜間に電源がないと不便なため、高性能の蓄電池と発電機のセットを購入すべく、近々クラウドファンディングを立ち上げる予定なんだそう。
金光さんは「蓄電池で夜間も電気の安定供給ができれば、登山のお客様が夜に携帯電話やスマートフォンを充電できたり、冷蔵庫で食材を保管して提供できるメニューを増やしたり、クラフトビールの機械を稼働したり、できることが広がります」と笑顔を見せます。
もう一つの課題は電波、Wifi環境を整えること。
浄土平ビジターセンターの近くにDocomoとauのアンテナがありますが、吾妻小舎の電波状況はかなり不安定。ソフトバンクの電波は全く入りません。安定したWifi環境を整えるべく、通信業者に問い合わせ中です。
「電気とWifi環境が整えば、ワーケーションの利用も期待できます。くみ取り式の非水洗トイレの一部を簡易水洗トイレにするためのクラウドファウンディングも計画中です」と金光さん。
吾妻小舎を利用する際のポイント
当面の間、下記ポイントに注意してご利用ください。
・携帯電話がほぼ通じません。ビジターセンター付近でドコモとauの電波が入りますが、ソフトバンクは入りません。
・電気は発電機で発電。資源保護の観点から夜9時で発電機を止め、消灯します。
・洋式便座はありますが、トイレは汲み取り式の非水洗トイレです。
・入浴施設はありません。
・持ち込みの飲料、食料などのごみはお持ち帰りください。
・涼しさは折り紙つき。夏でも雨が降ると肌寒いので、1枚羽織るものをお持ちください。
徒歩3分ほどの場所に浄土平キャンプ場も
吾妻小舎から徒歩3分ほどの場所に浄土平野営場(キャンプ場)があります。
こちらがキャンプ場の地図。
各キャンプサイトが区画で分けられていて、プライベート空間が保たれるので安心。
板場の上にテントやタープを張ります。直火は禁止です。
(写真左)3か所ある共同の炊事場
(写真右)共同トイレは非水洗のくみ取り式と簡易水洗トイレがあります。
※注意※
吾妻山はツキノワグマの生息地。2022年7月上旬にも浄土平周辺でクマ出没のニュースが報じられました。
https://www.bes.or.jp/joudo/blog/38065/
キャンプ場でゴミを放置するとクマが餌を求めて寄ってきてしまいますので、生ごみは匂いが出ないよう密閉して保管する、ゴミは全て持ち帰るなど、ご自身で管理してください。
一人の時は携帯ラジオをつけておく、クマ鈴を携帯する、2人以上の時は会話をしながら移動するなど、クマ対策を十分に行った上でお楽しみください。
まとめ
まるで昭和にタイムスリップしたかのような非日常を味わえる吾妻小舎。福島市の夏の新しい過ごし方に可能性を感じました。
標高が高く、緑も豊かな場所なので、避暑地としても快適に過ごせますよ。
個人的な感想ですが、子連れで行く場合、小学校中~高学年位の、好奇心旺盛で冒険心が強いお子さんなら楽しく過ごせると思います。我が家も子どもたちがもう少し成長したら家族で宿泊してみたいです。
この夏、デジタルな日常を少し離れて、アナログな非日常を楽しんでみては。
施設名 | 吾妻小舎(あづまごや) |
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住所 | 〒960-2157 福島県福島市土湯温泉町鷲倉山 ※吾妻小舎は郵便物が届きません |
問い合わせ |
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