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【土湯温泉】車いすの方も利用しやすい新客室を備えて「山水荘」がリニューアルオープン

ふくしまバリアフリーツアーセンターが全面協力

多様なお客様に対応できるおもてなしの宿を目指して

土湯温泉にある老舗旅館「山水荘」が、館内をリニューアルし、5/17に「水織音(みおりね)の宿 山水荘」としてプレオープンを迎えました。(グランドオープンは2023年を予定)

今回新設された客室「紫水亭(しすいてい)」には、露天風呂・半露天風呂付きの客室が15部屋用意されています。リニューアルに際しては多様なお客様が利用できるよう、館内のバリアフリー化をより一層強化しています。バリアフリー設備に関しては、先日「Japan Travel Awards 」でグランプリを受賞した「ふくしまバリアフリーツアーセンター」が全面協力させていただきました。

ふくしまバリアフリーツアーセンター 『JAPAN TRAVEL AWARDS 2022』グランプリを受賞!

リニューアル後はどのように変化したのか、山水荘予約課主任の藤原誠さんに案内していただきました。

お話を伺った予約課主任の藤原誠さん

お話を伺った予約課主任の藤原誠さん

藤原主任:
リニューアル前の施設は老朽化が進み、忘・新年会や学生団体旅行向けの同タイプの部屋がほとんどでした。また、2011年の震災以降は団体利用が減少傾向でしたが、さらにコロナ禍では個人旅行が主流になりました。
緊急事態宣言の発令などで休館せざるをえない状況にもなり、「どうせ休館するのならその間にリニューアルを済ませてしまおう」と考え、時代に合わせた施設のリニューアルを行いました。

観光庁「心のバリアフリー認定」も取得

通路が広めにとられた売店

通路が広めにとられた売店

施設のリニューアルに伴いバリアフリーにも力を入れ、2022年4月には福島市内の宿泊施設では初となる「観光庁 心のバリアフリー認定制度」を取得しました。

認定基準である「バリアフリーに関する教育訓練」として、「心のバリアフリー研修」を2022年2月にオンラインで開催しました。ふくしまバリアフリーツアーセンターの障がい当事者理事とスタッフによる講話のほか、福島市社会福祉協議会の協力で、従業員が実際に車いすに乗り、施設内を移動する体験をしました。

藤原主任:
館内のバリアフリー化を進めても、お客様をお迎えする従業員が対応できなくては困ります。そのため、観光庁 心のバリアフリー認定制度を取得しました。
普通に歩いて登れる傾斜でも、車いすだとかなり大変だということは、実際に体験するまで分からないことでした。心のバリアフリー研修後は、車いすご利用のお客様への気遣いや、配慮した接客ができるようになりました。

車いすでも過ごしやすい新客室「姫小百合」をご紹介

紫水亭の入口。専用のカードキーで入室します

紫水亭の入口。専用のカードキーで入室します

新客室「紫水亭」の一室、「姫小百合」は「ユニバーサルスイートルーム」。

この部屋は、障がい当事者でもあるふくしまバリアフリーセンター 佐藤由香利センター長が、一級建築士である佐藤玲子センター副理事長とバリアフリー化のアドバイスを行いました。

佐藤由香利センター長:
最初ユニバーサルスィートルームの図面の段階で、車いす利用者の動線を考え、トイレの入り口ドアを左右逆の方がスムーズではないか、浴室の入口などはA・B2つの提案に対し、どちらが良いかアドバイスをいたしました。 また、どなたにも使いやすいという完璧なバリアフリーは難しいため、シャワーキャリー(浴室用車いす)やシャワーチェア(浴室用いす)などの貸出があることがわかるようにしてはどうか。その他に浴槽内滑り止めなども準備してはどうか。 小さなお子様連れの方にもベビーバスグッズをそろえてはどうか。などまとめて参考資料としてお渡ししました。 苦慮した点は、図面だけですと高さがわかりにくいということでした。障がいある方にとって大切なのは腰掛け椅子の高さや手すりの高さなどが素人の自分には図面から想像がしにくい中でのアドバイス依頼でした。 その点は1級建築士の佐藤玲子さんに建築士の立場からアドバイスをしていただきました。

バリアフリーのポイントをご紹介していきます。

ポイント1|車いすのまま入室可

紫水亭の入口。専用のカードキーで入室します

客室前の廊下から室内すべての部屋や通路に段差がないため、車いすで通行が可能です。フローリングはもちろん、畳の部屋にもそのまま入れます。車いすタイヤカバーの貸し出しがあるので、入室前に取り付けます。

電気のスイッチやエアコンのパネルも車いすに乗ったまま手が届く位置に配置。トイレも広々していますね。テラスにも車いすに乗ったまま出られます。

ポイント2|優しい配慮のあるお風呂

お風呂にも様々な配慮が。湯船の脇には腰かけが用意され、シャワーチェアやシャワーキャリー(入浴用車いす)などの備品の貸し出しも行っています。

予約時にお知らせすれば、湯船のお湯の温度を熱め(約42℃)・ぬるめ(約39℃)に調整しておくことも可能だそうです。

さらに、注目すべきは「シャワー・ド・バス」。

「シャワー・ド・バス」は、10か所のノズルからお湯が吹き出し、全身を包み込むため、お湯に浸かるのと同じように体が温まるんだそう。湯船に浸かれなくても、全身ポカポカになってリラックスできそうですね。

※シャワー・ド・バスのノズルからは温泉水ではなく沸かし湯が出ます。

藤原主任:
当部屋はこれまで高齢のご夫婦が2~3組利用されました。まだ車いすでの利用はありませんが、お問い合わせは何件かいただいております。ほぼ同じタイプのお部屋で、シャワー・ド・バスがないスイートルームもございます。
車いすをご利用の方でも、そうでない方でも、どなたにでも快適に過ごしていただけます。ぜひお問い合わせください。

まとめ

現在、山水荘はプレオープン期間中。2023年にはグランドオープン予定です。
グランドオープンまでには、斜面のある駐車場を地下駐車場に改修する工事や、大浴場のリニューアルなども予定しています。

山水荘では食事面でも、刻み食、ミキサー食、高血圧の方向けの食事にも対応。
また、ハラル対応(イスラム教の方が食べることができる食事)、ムスリムフレンドリー(お祈りの部屋を用意、方位磁針の貸出)など、多様なお客様をお迎えできるよう努力を続けています。

土湯温泉への宿泊旅行を計画の際には、ぜひチェックしてみてくださいね。

これまでお伝えした情報以外にも、館内多くの場所でバリアフリーに対応しています。
詳しくはこちらをご覧ください。

水織音の宿 山水荘バリアフリー情報

水織音の宿 山水荘 施設情報

齋藤幸子(さいとうゆきこ)

レギュラーライター

齋藤幸子(さいとうゆきこ)

2010年に福島市に転入。WEB制作会社→銀行窓口業務→大学広報補佐を経験。2児の子育てをしながら、2019年より「福島に移住・転入した女性が、福島の暮らしの情報を発信するサイト tenten」でライター活動をはじめる。現在はフリーライターとして各種WEB媒体で執筆中。主に地域情報や生活情報の発信を行ってきたが、観光ノートのライターになり取材記事の沼にハマる。写真撮影、画像編集、マップ作成なども行う。

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