掲載日 /
【ルートマップつき検証レポート】車いす&ベビーカーで楽しむ花見山
「ゆずりあいコース」を実際にまわってみました!
花見山のシーズンが始まり、少しずつ開花も進んでいます。花見山では、昨年秋に一部の道が舗装されて車いすの方でも歩きやすくなったので、バリアフリーツアーセンター所長の佐藤さんと一緒に「ゆずりあいコース」を車いすで巡ってみました。その様子をお伝えします。
記事の後半では、問い合わせの多い花見山のバリアフリーポイントもご紹介しますよ。
「花見山に行きたいけど、車いすやベビーカーで行けるか心配…」という方の参考になれば嬉しいです。
目次
「ゆずりあいコース」を車いすで巡ってみました
花見山公園臨時バス停・駐車場そばの花見山本部から花見山公園入口までは約800mあります。普通に歩くと約15~20分かかる距離です。福島市のバリアフリーツアーセンターには「800mを歩けるか不安」という問い合わせも増えているのだそう。そこで、実際に花見山本部で車いすを借りて、一緒に歩いてみました。
密着取材に協力してもらったのは、車いすユーザーでふくしまバリアフリーツアーセンター所長の佐藤さん(右)と、介助の齋藤さん(左)。共に40代の友人同士です。
下のマップは、佐藤さんと齋藤さんが実際に車いすで巡ったルートです。記事と併せてご覧ください。
①花見山本部をスタート
花見山本部で車いすを借り、赤いジャンパーの本部スタッフからコースの説明を受けてスタート。まずは花見山公園入り口近くの菜の花畑を目指します。花見山本部前はゴムマットが敷かれているので、車いすやベビーカーでも安心です。
川沿いのコースを進み、途中で花の写真もパチリ。
右側の砂利道を避けて左側の舗装された道へ。警備員さんが誘導してくれました。
菜の花畑へ向かう最短ルートの砂利道では、車輪がはまり込むアクシデントも。幸いすぐに抜け出せましたが、心配な方は舗装された道へ迂回してくださいね。
▼ ここまで約25分 ▼
②菜の花畑の中で写真を撮ろう
無事、菜の花畑へ到着しました。菜の花畑に入って写真を撮ることができますよ。(カメラを菜の花の高さくらい下から構えるのがポイントです!)
菜の花畑を整備してくださった、ふくしま花案内人 会長の菅野紀子さんにお話を伺いました。
ふくしま花案内人 会長 菅野紀子さん:
車いすやベビーカーをご利用の方も菜の花に囲まれた写真が撮れるよう、広めの通路を整備しました。木のチップが敷かれた通路は柔らかくて少し進みづらいかもしれませんが、人が行き来して踏み固められれば進みやすくなると思います。
「多くの方に花を楽しんでもらいたい」という花見山園主の阿部さんの思いを、私たちふくしま花案内人が受け継いでいます。
▼ ここまで約15分 ▼
③花見山観光案内所の周辺で準備をしよう
花見山観光案内所(通称ログハウス)周辺には黄色いジャンパーを着たふくしま花案内人がいらっしゃいます。ぜひ見頃の花や、おすすめのコースについて聞いてみてください。
花見山観光案内所ではベビーカーを預けることもできます。貴重品がないこと、名前と連絡先を記入することが条件で、ふくしま花案内人の方々の善意で預かってくださるそうです。
園内はアップダウンが多く、急な下り坂もあるので、ベビーカーを押して歩くのはかなり大変。小さなお子さんをお連れの方は、観光案内所にベビーカーを預け、抱っこひもをして行くことをおすすめします。
ベビーカーの一時預かりは16時までですので、受け取り時間にお気をつけくださいね。
花見山公園の手前には多機能トイレがあります。ベビーベッドとベビーチェアもあるので、お子さん連れでも安心ですね。
▼ ここまで約10分 ▼
④いよいよ花見山公園へ
花見山公園入口へ続く道です。写真の右側の道は、以前は砂利道でしたが、2021年秋に舗装されました。
この道が舗装されるまでは、車いすやベビーカーの方は左側の道を通って迂回する方が多かったのですが、今では同じルートで花見山公園内に行くことができるようになりました。
佐藤さん(車いす):
これまでは「あとでね~」と二手に分かれていましたが、今はみんなと一緒に行けるのが嬉しいです。この変化はとても大きいです!
少し進むと阿部邸と庭が見えてきました。コース手前では、ふくしま花案内人が杖の貸し出しをしています。30分コースなど園内を行かれる方用ですが、身長や好みで自分に合った杖を選べるのも良いですね。
阿部邸の庭から見る花見山も時期によって表情が全く変わってステキなんだそうですよ。
「ゆずりあいコース」入口には、少し急な坂があります。介助する方は力を入れて押す必要がありました。
また、「ゆずりあいコース」を進む際、30分・45分・60分コースの最終地点へ戻る人が向かってきますので、車いすで逆流することになります。人の流れに気をつけてお進みください。
▼ ここまで約10分 ▼
⑤チューリップ畑で景色を満喫しよう
阿部邸の庭から少し急な坂を登ってすぐ、折り返し地点のチューリップ畑に着きました。
佐藤さんによると、チューリップ畑から眺める花見山公園もおすすめなんだそうです。取材日の4月2日の色づきはまだまだでしたが、4月中旬頃には色鮮やかな花見山が楽しめそうです。
チューリップ畑から阿部邸の庭に戻る下り坂は、車いすにとっては少し急だったそう。後ろ向きに降りると安全ですよ。
齋藤さん(介助):
ここの下り坂は急でした。前向きに降りるときは、車いすのブレーキをしっかり握りながら後ろに引っぱるぐらいでちょうどよかったです。なるべくブレーキ付きの車いすをおすすめします。
※花見山公園内の「ゆずりあいコース」は坂道が少し急ですので、ご自身の体調や状態によってご判断ください。
▼ ここまで約10分 ▼
⑥帰り道~物産ひろばで一休み
「ゆずりあいコース」の帰り道はゆるやかな下り坂が続きます。車道を横断する際はご注意ください。
帰り道の途中、渡利東町会集会所の脇にタクシー乗降所があります。今回のモデルコースのように花見山本部から長い距離を歩く必要がないため、歩行に不安がある方はタクシーの利用もおすすめですよ。
物産ひろばが見えてきました。ようやくゴール地点です。
▼ ここまで約40分 ▼
花見山本部をスタートしてから物産ひろばまでは、約1時間半~2時間ほどかかりました。写真を撮るのが好きなお二人は、綺麗な花をみつけては立ち止まって写真を撮っていたので、わりと多めに時間がかかった方だと思います。
最後にお二人に感想をお聞きしました。
佐藤さん(車いす):
普段使っている車いすと足置きの高さが違うので、たまに足の曲げ伸ばしをしていましたが、快適に過ごせました。楽をさせてもらっちゃいました(笑)
齋藤さん(介助):
これほど長い時間、車いすを押すのは初めてです。腕はちょっとだるいですが、写真を撮りながら休みやすみ行ったので、それほど大変ではなかったです。
物産ひろばについたのはちょうどお昼時で、お腹もすきました。車いすをテーブルの脇に置いて、BLTカフェの「オーナーズバーガー」を二人でいただきます。
おつかれさまでした!
花見山本部周辺のバリアフリーポイントをご紹介
ここからは、お問い合わせの多い花見山本部周辺のバリアフリーポイントについてご紹介します。
花見山までのアクセス
■マイカーを利用したい場合
バスの乗り降りが難しい方や車いすの方に対する駐車場を、多目的広場の一角に設けています。
交通規制エリアを走行するため、2日前の事前予約制となっています。
お身体の不自由な方用駐車場予約フォームはこちら(Googleフォーム)
※バスの乗り降りができる方は、マイカーをあぶくま親水公園に停めていただき、花見山までのシャトルバスをご利用ください。
■タクシーの場合
期間限定で花見山定額タクシーを利用できます。花見山公園のふもとまで行くことができるので便利です。
詳しくはPDFをご確認ください。
【花見山定額タクシー運行期間】
2022年3月19日(土)~5月5日(木)
【運行区間・料金】
JR福島駅東口⇒花見山タクシー乗降所 1,850円
JR福島駅西口⇒花見山タクシー乗降所 2,000円
花見山本部周辺のバリアフリー化
■砂利の上にゴムマットを設置
花見山本部前と物産ひろばは砂利のため、ゴムマットを敷いています。「砂利だと車いすの前輪がつっかえて前に進みにくい」という声にお応えしました。ゴムマットの上ならベビーカーもスムーズに移動できますよ。
■車いすの貸出
花見山本部では車いすの貸出をしています。ブレーキ付きの車いすなので、坂道の多い場所でも安心です。
2021年より、感染防止対策として貸出前後に除菌を行っています。除菌済みの車いすには袋をかけてきれいさを保つ工夫も。除菌作業などは介助ボランティアの皆さんにご協力いただいています。
■授乳室
花見山本部の並びにベビーベッドが置かれた授乳室もあります。ゴミ箱はありませんので、おむつ替えなどのゴミはお持ち帰りください。
■車いす対応トイレ
車いすご利用の方や足が不自由な方には、花見山本部前の常設トイレをおすすめしています。多機能トイレではベビーベッドでおむつ替えもできますが、おむつなどを捨てるゴミ箱はありませんので、お持ち帰りくださいね。
まとめ
「障がいがあってもふくしまの旅を楽しんでほしい」。ふくしまバリアフリーツアーセンター所長の佐藤さんは、花見山のバリアフリー環境の整備に力を入れてもらえるよう、10年前から働きかけてきました。今回、車いすで「ゆずりあいコース」を巡り、チューリップ畑についたとき、「車いすで来れたー!」と大喜びしていたのがとても印象的でした。
今回は車いす利用の40代女性同士のモデルコースをご紹介しましたが、この記事で車いすやベビーカーでの心配事が少しでも解消されれば幸いです。
これからも福島市観光ノートはバリアフリーの情報発信に力を入れていきます。