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【2022年】華やか!つるし雛飾り開催中(2/21まで)優秀建築賞を受賞した「花の写真館」(福島市写真美術館)
大正モダニズム建築の洋館で春を感じよう
※この記事は2022年の情報を基に作成しました。
築100年!東日本大震災を経て受賞した栄えある賞
この度、日本建築防災協会が主催する本年度の全国表彰「耐震改修優秀建築賞」に、「福島市写真美術館」(2002年6月17日市有形文化財に指定)が選ばれました。おめでとうございます!
この表彰は耐震改修した建築物のうち、特に耐震性、防災・安全性、意匠等に優れた建築物に贈られる賞。
1922年(大正11年)、郵便などを管轄する中央官庁「逓信(ていしん)省」の電気試験場として開設されたこの建物は、当時の日本では最先端の技術・デザインが用いられた、大正モダニズムの貴重な建築物。同じ頃、逓信省は石造に洋瓦、漆喰の壁と天井というおしゃれな洋風を全国各地に建てており、総じて「逓信建築」と呼ばれています。
信夫山の麓に、ドンと構える美しい洋館はさぞかし人々の話題になったことでしょう。
その後、1998年(平成10年)にこの建物は福島市に譲渡され、主に写真を展示する公共の美術館として使用されるようになりました。
一時は解体も検討、存続の危機に。
昨年、築100年を迎えた福島市写真美術館。長い歴史の中でいつの間にか私たちの生活の中に溶け込み、“いつもそこにあるもの”のように感じられていました。しかし、東日本大震災が起こり、存続が危ぶまれる事態に陥ります。
大きな地震によって館内外の壁に亀裂が入り、天井が剥がれたりするなどの被害に。加えて、特殊構造のため耐震補強などに技術的な問題が生じ、美術館は休館を余儀なくされました。
崩落の危険があり解体も検討されていましたが、市民や専門家でつくる検討委員会の提言などを受け、その文化的価値の高さから一転。建物の修復が決定しました。
その後、復旧・耐震補強等の再整備工事が行われ、ついに2021年(令和3)年5月、リニューアルオープンに至ります。
屋根上部まで伸びたパラペットやレリーフ、外壁面から張り出した玄関周りのデザインや細かい装飾などが印象的ですね。外壁は修繕後も当時のものが使われているそうです。
2002年(平成14年6月)には、「福島市有形文化財」に指定。大正時代に建てられた近代建築の遺構として希少でありながら、今も多くの人々の憩いの場として活躍しています。
「福島に桃源郷あり」写真家・秋山庄太郎氏との縁
「花の写真館」と秋山氏の軌跡
写真家・秋山庄太郎氏は、市内渡利にある花見山公園を「福島には 桃源郷 がある」と全国に紹介し、福島市の観光に貢献した人物。2001年(平成13年)10月に福島市ふるさと栄誉賞が贈られた際、秋山氏から福島市写真美術館へ向けて作品の寄贈を受けたことで「花の写真館」という名称が加えられました。以来、花の写真館は秋山氏の「想い」を象徴する施設としても運営されています。
秋山氏の作品の常設展示はもちろん、時期ごとに展示会などのイベントを行っており、写真文化をはじめとする様々な分野の文化芸術団体の発表・活動の場として、展示室や多目的室などを貸出しています。直近のイベント情報は下記よりご参照ください。
イベント情報
■「“つるし雛”飾り」(2月1~21日)
現在開催中のつるし雛飾りは、市内に住む愛好家たちが作ったつるし雛など100点以上が2F企画展示室に展示されています。着物の切れ端などを活用して作られた鶴やタイといった縁起物の他、今年の干支である「とら」や福島の特産の「もも」などの作品も飾られ、初春を華やかに彩っています。
■「秋山庄太郎展(いちごいちえ)」(3月19日~4月17日)予定
秋山庄太郎氏の写真展示の他、「花写真ビギナー講座」(事前予約)などを行う予定です。
まとめ
いかがでしたか?
いつも通っていたあの場所に、こんなに貴重な建物があることをご存じでしたか?大切に使い、次の世代へバトンタッチしてきたいですね。100年前の建物に思いを馳せ、いつもと少し違った空気が感じられる場所。
企画展も随時開催されているので、ぜひ一度、気軽に足を運んでみてください。
福島市写真美術館 |
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所在地 | 福島県福島市森合町11番36号 |
Tel | 024-563-4990 |
開館時間 | 9:00~16:30 |
休館日 | 年末年始(12月29日~1月3日) |
HP | https://www.f-shinkoukousha.or.jp/hanano-shashinkan/ |