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「日常に寄り添うデザインを」大堀相馬焼 窯主・近藤京子さん

伝統を受け継ぐ大堀相馬焼、福島市ふるさと納税返礼品に登場

大堀相馬焼は350年の歴史を誇る福島県の伝統工芸です。福島県浪江町を産地とし、江戸時代からの歴史を持つ焼物として、今もその伝統を受け継いでいます。

2011年3月、東日本大震災による原発事故に伴い、浪江町に避難指示が出されたため現地での生産ができなくなりました。そんな中、避難先の福島市飯坂町でいち早く築窯し、生産を再開させたのが『京月窯』でした。

このたび、大堀相馬焼・十五代窯主の近藤京子さんの制作する大堀相馬焼の器7品が、福島市ふるさと納税の返礼品に登場しました。近藤さんに、大堀相馬焼の魅力や制作への想いを伺いました。

大堀相馬焼の歴史と特徴

——大堀相馬焼の歴史を教えてください

大堀相馬焼は、江戸時代に相馬藩の特産品にしようと「相馬焼」の名前で始まりました。相馬藩では大堀地区に焼物の役所を置いて、資金の援助や粘土の確保などをしながら守り続け、大堀の窯業は農家の副業として普及し、発展してきたと伝えられています。
後の昭和5年に国の伝統工芸品に指定される際、産地名に「大堀」の名を加え「大堀相馬焼」として広く知られるようになります。

明治に入り相馬藩の援助がなくなったこと、交通の発展による他の産地の焼物との競争、さらには戦争による大きな打撃を受け、一時は消滅の危機に晒されました。しかし終戦を迎え、職人や多数の復員者、引揚者の手によって窯業が復活。戦争によって消滅した物資の補充として、市場は国内をはじめアメリカまでも広がり、大堀相馬焼の二重構造が「アイデアカップ」や「ダブルカップ」の名称で親しまれました。

——代表的な特徴はどんなものですか?

代表的な特徴は「二重焼(ふたえやき)」と呼ばれる二重構造のものや、狩野流の力強い「走り駒」の絵柄が挙げられます。また「青罅焼(あおひびやき)」と呼ばれる、青磁釉に大きく貫入が入った模様も特徴の一つです。二重焼で作る湯呑みなどは、淹れた湯が冷めにくく、手で持っても熱くないので利便性が高く人気があります。

主な作業工程は、粘土の成形、削り・装飾、乾燥、一次焼成(窯入れ)、釉薬がけ、本焼き、仕上げに分かれています。粘土の成形では「ろくろ成型」による手作りで行われており、二重構造や飛び鉋、菊押しなどの伝統技法による作陶があります。さらに、タタラ板や紐作りなど道具を用いた製法も取り入れています。

粘土から成形後は、ある程度自然乾燥させた器の表面を削り仕上げし、花貫きと呼ばれる穴あけや、泥粘土による加飾をします。この状態で工房の一角でさらに1か月ほど乾燥させます。そして完全に乾燥させた器を850℃前後で焼成する「素焼き」という工程に入ります。この工程を行うことによって次の工程が容易になります。

次は「釉薬がけ」です。大堀相馬焼の伝統でもある青磁釉をはじめ、京月窯オリジナルも含めると10種類以上の釉薬があり、独自に調合しています。そして1,250℃の高温で本焼きします。釉薬は窯の炉内でゆっくりと溶けて、さまざまな風合いへと生まれ変わります。

初の女性窯主として作品の特徴やこだわり

——京子さんは大堀相馬焼の歴史の中で初めての女性継承者と聞きました

先祖は今から300有余年前の元禄年間に「陶工7人衆」の一人として陶芸の道に勤しみ、後の大堀相馬焼の礎を築き上げた当『京月窯』ですが、私で十五代目となり、代々受け継がれてきた中でも初の女性継承者です。

実は私は、元々は窯を継ぐことを生業とは考えていませんでした。窯元の子どもは瀬戸にある陶芸を学ぶ専門学校に入る方も多いのですが、私は愛知県の専門学校で2年間経理を学んだあと、浪江町の会社で半年間、事務員として勤めていました。
一人っ子だったこともあり、20歳のときに覚悟を決めて家業に入りました。

——伝統的な作品のほか、女性らしい色や形の作品も素敵ですね

代表作は「天平の甍(てんぴょうのいらか)」シリーズです。奈良時代の天平年間(729〜749)を中心に栄えた仏教美術、建築など日本文化が芸術的に高められた時代を思わせる色使いが特徴です。そのほかにも、艶と鮮やかな緑色をした釉薬が特徴の「桃緑」シリーズや「紫彩」シリーズがあります。

女性らしいパステル系の色合いや形を取り入れ、ハート型のコーヒーカップやランプシェードも制作しています。伝統的な湯呑みにもリーフをあしらったデザインを施すなど、従来の概念にとらわれず日常に溶け込むデザインを心がけています。

 

——作品のアイデアはどういうところから生まれるのですか?

お客様との会話からヒントを得ることが多いです。浪江町にいるときに、厄払いで配る品物にと相馬焼を頼まれました。頼んだ男性が「俺はハートが熱い男だから、そういう作品がいい」と言われたことで制作したのが、ハート型のコーヒーカップです。それが20年来不動の人気商品となりました。

京月窯ではギャラリーに無料のコーヒーコーナーを設けています。実際に器を使ってみることで、使用感や色味をリアルに感じることができます。こうした滞在時間も当窯ではおもてなしの一つと考えており、器の質感を必然的に体感していただけると思っています。使っていただいた感想なども作品作りの参考になっています。

震災・避難生活から福島市での再開まで

——震災で避難された後、福島市で再開された理由は?

2011年3月11日に東日本大震災が発生しましたが、その日は地域の小学校に依頼いただいていた大堀相馬焼の卒業記念品を届けに行っていました。もう少し後の日程で納品する予定だったのですが、急きょその日に納品することになって。
仕事があったのですぐに窯に戻ったのですが、その後原発事故が起き、浪江町は一斉避難となってしまったので、今思うとあの時に納品できてよかったなと思いました。

その後、私たちも着の身着のまま二本松市に避難。当時は1週間もすれば戻れるだろうと楽観的でした。岳温泉が温泉を開放してくれましたが、ガソリンもなく、自治体が運行していたバスも高齢者に譲っていたので、お風呂に入れなかったのを覚えています。
それからは東京の叔父叔母の家に10日間ほど滞在していましたが、次第に作陶できない焦りが募っていきました。そのときにちょうど募集がかかっていた福島市の復興公営住宅に入居を決めました。

いわき市に避難した窯元が多い中、福島市に窯を造ることを選んだのは、福島市に国立大学や県立美術館があり“文化の香りがした”からです。窯を再開するのに40か所ほど選定し、43か所目で現在の築130年の古民家に巡り合いました。
2011年3月11日に被災、同年7月に物件を決めて、9月から工事開始。11月末には引き渡しも終わり、12月1日から窯に火入れすることができました。

新しい工房は、展示ギャラリーをはじめ、ろくろ場や窯場など、浪江町の工房と比べれば小規模ですが、少しずつ環境を整備してきました。ここでは伝統を守り、また新商品の開発に力を注ぎながら、避難している浪江町の人たちがふるさとを想い、心をつなぐ場所になるようにと作陶に励んでいます。

——福島市での制作で変化したことはありますか?

福島市の気候は浪江町のある浜通りとは異なり、夏は高温多湿で冬は積雪があり大変でした。京月窯のすぐ裏手をフルーツラインが走り、果樹農家が多い地域なので、農園の人たちと交流することが増え、人の優しさを感じました。
その中で、桃やりんごの剪定枝がたくさん出ることを知り、なんとか利用できないかということで生まれたのが「桃源郷」シリーズです。

震災前は、双葉町の双葉バラ園と繋がりがあり、剪定されたバラから釉薬を抽出したバラシリーズに取り組んでいました。赤みを帯びたベージュ系の落ち着いた色合いと、吸い付くような手触りで好評でした。そういった経緯もあり「福島市でも福島市らしい作品を作りたい」と。
桃でも応用できるのではと挑戦し、桃の剪定枝を焼成灰として釉薬の素材にし、カップなどを制作しました。剪定枝の収集や釉かけに課題がありますが、引き続き取り組んでいきたいと思っています。

これからの展望

——これからの展望を教えてください

大堀相馬焼の窯元は、震災時は23軒。そのうち現在再開している窯元は13軒とまだまだ少なく、高齢で後継者がいないため再開していない人もいます。大堀相馬焼を後世に遺していけるよう、今の時代のライフスタイルに合わせた作品を提案して、自分たちの手でしっかりと受け継いでいきたいと思います。

浪江町の窯は、900坪の敷地に9棟、160年の歴史がある主屋などがあった場所でした。2025年に元々の窯は解体される予定ですが、そこに人々が集えるメモリアル施設を造りたいと思っています。施設には茶室を設けて人々が語らえるような空間を作り、浪江町に生業を築いた証を残したいのです。

ふるさと納税返礼品のお申し込み

大堀相馬焼のふるさと納税返礼品のお申込み・ご寄付は、下記のポータルサイト名をクリックしてください。(外部リンク)

No.2925 大堀相馬焼窯元京月窯「トビカンナ仕上げ 駒絵入り夫婦湯呑茶碗」

名称 No.2925 大堀相馬焼窯元京月窯「トビカンナ仕上げ 駒絵入り夫婦湯呑茶碗」
寄付金額 21,000円
ふるさとチョイス 楽天ふるさと納税 さとふる
ふるなび ANAふるさと納税 JREMALLふるさと納税
auPAYふるさと納税 ふるらぼ セゾンのふるさと納税

No.2926 大堀相馬焼窯元京月窯「天平の甍色 ハート形コーヒーカップ&ソーサー」

No.2927 大堀相馬焼窯元京月窯「紫彩 ハート形コーヒーカップ&ソーサー」

名称 No.2926 大堀相馬焼窯元京月窯「天平の甍色 ハート形コーヒーカップ&ソーサー」
寄付金額 19,000円
ふるさとチョイス 楽天ふるさと納税 さとふる
ふるなび ANAふるさと納税 JREMALLふるさと納税
auPAYふるさと納税 ふるらぼ セゾンのふるさと納税
名称 No.2927 大堀相馬焼窯元京月窯「紫彩 ハート形コーヒーカップ&ソーサー」
寄付金額 19,000円
ふるさとチョイス 楽天ふるさと納税 さとふる
ふるなび ANAふるさと納税 JREMALLふるさと納税
auPAYふるさと納税 ふるらぼ セゾンのふるさと納税

No.2928 大堀相馬焼窯元京月窯「天平の甍色 二重マグカップ」

No.2929 大堀相馬焼窯元京月窯「紅彩 マグカップ」

名称 No.2928 大堀相馬焼窯元京月窯「天平の甍色 二重マグカップ」
寄付金額 17,000円
ふるさとチョイス 楽天ふるさと納税 さとふる
ふるなび ANAふるさと納税 JREMALLふるさと納税
auPAYふるさと納税 ふるらぼ セゾンのふるさと納税
名称 No.2929 大堀相馬焼窯元京月窯「紅彩 マグカップ」
寄付金額 19,000円
ふるさとチョイス 楽天ふるさと納税 さとふる
ふるなび ANAふるさと納税 JREMALLふるさと納税
auPAYふるさと納税 ふるらぼ セゾンのふるさと納税

No.2930 大堀相馬焼窯元京月窯「豆皿5枚セット ピアノと鍵盤のイラスト入り」

No.2931 大堀相馬焼窯元京月窯「ランプシェード」

名称 No.2930 大堀相馬焼窯元京月窯「豆皿5枚セット ピアノと鍵盤のイラスト入り」
寄付金額 22,000円
ふるさとチョイス 楽天ふるさと納税 さとふる
ふるなび ANAふるさと納税 JREMALLふるさと納税
auPAYふるさと納税 ふるらぼ セゾンのふるさと納税
名称 No.2931 大堀相馬焼窯元京月窯「ランプシェード」
寄付金額 50,000円
ふるさとチョイス 楽天ふるさと納税 さとふる
ふるなび ANAふるさと納税 JREMALLふるさと納税
auPAYふるさと納税 ふるらぼ セゾンのふるさと納税
高橋由香

準レギュラーライター

高橋由香

福島市出身。関東の大学へ進学後、Uターンをして地元の出版社に就職。主に紙媒体の情報誌の編集部員として経験を積む。東日本大震災後の体調不良をきっかけに「食」のありがたさに気が付き、調理師学校の夜間部に通って調理師免許を取得。現在は学生時代から続けていたカメラの経験を活かし、主にカメラマン・ライターとして活動中。また、いちご農家のアシスタントとしても働いている。

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